巨大ロボットがのしのしと歩いている。われわれはその肩の上で生活している。このロボットはいろいろな種類の電力によって動いている▼安価で手に入れやすい「石炭」を使った電力に約三割頼ってきたのだが、これがどうも評判が悪い。「石炭」を使うと、ロボットから地球に悪いオナラが出る。世界中から「やめてよ」といやな顔をされてしまった▼では「原子力」の割合を増やすか。これはこれで安全面に心配があって、世間が許さない。待て、待て、太陽光や風力発電があるじゃないか。残念ながら、少々不安定な上、電気料金が高くなる▼梶山経済産業相が石炭火力発電を二〇三〇年度までに縮小させる方針を表明した。石炭火力発電を縮小し、地球温暖化につながる二酸化炭素の排出を抑制する。国際社会の脱炭素化の流れを見ても必要な選択といえる▼もっとも、「石炭」を減らした後をどうするかという話になると心もとない。不安な「原子力」や値の高い「再生可能エネルギー」の割合を上げるのは容易ではなく、国民、産業界の十分な理解が得られるか。巨大ロボットの立ち往生が心配である。議論を深めたい▼日本は昨年、脱石炭の取り組みが弱いと、温暖化問題に取り組む国際NGOから「化石賞」を頂戴してしまった。口だけの「石炭」縮小に終われば、いよいよ「墓石」が贈られてくるかもしれない。
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