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今日の筆洗

2016年06月19日 | Weblog

 米映画の「黄昏(たそがれ)」(一九八一年)にこんな場面がある。長い間、仲たがいしている父と娘がいる。娘は老いた父親との関係を修復したいと考える。「友だちでいたいの」。そう語り、父親のひざにそっと触れる。父親も目に涙を浮かべ顔を伏せる▼父と娘を演じたのはヘンリー・フォンダとジェーン・フォンダ親子である。この二人、映画と同じように確執が続いていた。娘の方は離婚や母親の自殺を父親のせいと考えていた。父親は娘の態度やリベラルな政治的発言を嫌っていた▼仲直りを考えたのは娘の方だった。「黄昏」を読んで映画化の権利を買った。あの場面で、父親が演技以上の涙を見せたことに「もう何もいらないと思った」そうだ。和解できた▼父の日である。仲の良い父と娘、息子には、小欄の出る幕はない。仮にである。父親との関係に悩んでいる方がいるとすれば、この日を利用しない手はない。そう、そそのかしたいのである▼勝手な言いぐさだが、若いあなたの方から年を重ねた父親に手を差し伸べてくれないか。しゃれたせりふのプレゼントもいらない。「元気?」。ただ一本、電話すれば十分だろう▼「(父親に)気持ちを伝えなさい。もう八十歳ですよ。いつまでグズグズしているの」。あの映画でキャサリン・ヘプバーンの母親が娘を叱っていた。急いだ方がいい。この日は年に一度しかない。


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