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今日の筆洗

2023年10月16日 | Weblog
俳優のオーソン・ウェルズが映画関係者の集まるパーティーでこんな場面を目撃した。マリリン・モンローのまわりに大勢の男が集まっている▼1人の男がモンローの服を突然破ったという。ひどい話だが、びっくりするのはモンローの反応の方か。その屈辱にもモンローは笑ったというのである。許したわけではない。笑うことで怒りを封じ込めたように見えたという▼笑うしかなかったのだろう。ライバル俳優のひしめくハリウッド。その中にあって役を勝ち取らねばならない。悪質な行為とはいえ、騒ぎ立ててお偉いさんの興を損ねたくない。モンローの怒りに震えた笑顔を想像する。その顔はハリウッドのおぞましい歴史のシンボルだろう▼かつてのハリウッドほどではないと信じるが、現在の日本でも、この手の不愉快なハラスメントがかくも起きているのか。政府が閣議決定した2023年版の「過労死等防止対策白書」によると俳優や声優らの2割超がセクハラ被害の経験があると回答した。小さな数字ではない▼「性的関係を迫られた」「必要以上に体を触られた」。セクハラを許さぬ時代にあって、若い俳優の立場の弱さにつけ込み、無体を働く者がいる現実が情けない▼映画、演劇、ドラマ。華やかな夢を売る世界の裏側にひそむ悪夢を追い払いたい。セクハラに心で泣きながら、笑顔の芝居。どんなにつらいか。
 
 

 


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