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今日の筆洗

2024年05月13日 | Weblog
歴史的な世論調査の結果がある。1945年8月、米ギャラップ社による調査で、米国民に広島、長崎で原子爆弾が使用されたことの是非を尋ねている。原爆投下直後の調査である▼結果は容認する人85%、容認しない人10%。ほとんどが容認した。戦争を早期に終結させるためという当時のトルーマン大統領の説明が効いたか▼時代の経過とともに原爆の非人道性が認識され、原爆投下を容認する比率はかなり減ったそうだが、「本音」では今もさほど変わっていないのか。オースティン米国防長官とブラウン統合参謀本部議長。原爆投下が「世界大戦を終わらせた」との見解を示した▼上川陽子外相が米側に抗議したが、当然である。数十万人の命を奪い、大きな災厄を生んだ現実に目をつむり、原爆投下の正当性のみを語る言葉が悲しい▼恐ろしいのはこうした考え方が45年ではなく今も利用されようとしていることか。統合参謀本部議長に質問し、その言葉を引き出したのは共和党のグラム上院議員。パレスチナ自治区ガザでの戦いを終わらせるため、批判はあろうと米国はイスラエルへの武器支援をやめてはならない-。そう主張したくて、原爆投下の正当性を政府側に言わせたかったらしい▼市民の命の重さを無視した議論にうろたえる。広島、長崎、ガザ。どんな理屈をこしらえようと奪われて構わぬ命など一つもない。