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今日の筆洗

2021年09月04日 | Weblog
台風シーズンである。昔の人は不思議な方法で風を静めようとしていたらしい。風に向かって静まれと叫び続けるのだそうだ▼江戸期の国学者、菅江真澄(すがえますみ)が今の秋田県羽後町で暴風雨の夜、こんな声を聞いたと書いている。「此風(このかぜ)しちませにせん」(この風静まれ)。羽後町といえば、その方の出身地も近い。菅義偉首相。次の自民党総裁選に出馬しないと表明した。わずか一年余りでの退陣となる▼おそらく、秋田出身のこの方も総裁選での勝利に向け、ぎりぎりまで「此風しちませにせん」と叫び続けていたのだろう。菅さんの「此風」は複合的である。コロナ禍という風、国民の不人気という風。それに加えて、支持率の低迷する菅首相では総選挙は戦えぬという党内の「菅離れ」という猛烈な逆風である▼党内の風を抑え込もうと内閣改造・党役員人事などの奇策を狙うも効果はなく、むしろ風は強まっていた。ご本人は不出馬の理由を「コロナ対策に専念するため」と語っていたが、へそ曲がりの小欄には、風を静められず、総裁選をあきらめたとしか見えぬ▼国民への説明が得意な方ではなかった。口がうまいだけの政治家も困るが、不安な時代にあって同じ言葉の繰り返しと、原稿の棒読みでは国民はより不安を感じるものだ▼菅さんの不出馬で、総裁選の行方はさらに読みにくくなった。自民党の台風シーズンが続く。

 


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