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今日の筆洗

2023年10月02日 | Weblog
落語家、立川談春さんの自伝『赤めだか』の中に粋な高校の校長先生が出てくる。高校を中退し、噺家(はなしか)を目指すという談春少年とお母さんをわざわざ校長室に招き、17歳の決断を祝って、「一人卒業式」を行ったそうだ▼「お母さん、よくぞ、ここまで息子さんを立派に育て上げられました」-。母親をほめ、談春少年には卒業証書の代わりに校長が書いた色紙を贈った。中退するといえども、教え子をきちんと送り出そうとする態度が、なんとも気持ちいい▼こちらの校長の事件には中っ腹を通り越して泣きたくなる。教え子の女子中学生に性的暴行を加え、けがをさせたとして、東京都練馬区の中学校校長が準強姦(ごうかん)致傷容疑で警視庁に逮捕された▼この校長、教え子の裸を記録したデジタルカメラを所持し、児童買春・ポルノ禁止法違反容疑でも逮捕されており、今回が再逮捕となる▼教え子を大切に見守り、育てるべき教職者が役目を忘れ、身勝手にも己の欲望の標的にしたのか。こんな人物が校長になっていたことが信じられぬ▼被害者は学校へ通えなくなると思い、誰にも相談できなかったという。さぞつらかっただろう。よい教職者にめぐり合える人がいる。一方で、立場を利用した教員とも呼べぬ卑劣な人物と出会ったばかりに一生消えない傷に泣き続ける人がいる現実。校長に「当たりはずれ」など、あってたまるか。