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今日の筆洗

2021年10月08日 | Weblog

一見、関係なさそうなところに意外な影響が及ぶ。古くからある、風が吹けばおけ屋がもうかるという例えについて、物理学者の寺田寅彦は<一場の戯談(じょうだん)もあながち無意義な事ではない>と随筆で述べた。宇宙にある無限の事物も互いに関係しないものはないと。「万物相関」なる言葉も使って、説いている▼なにやら難しい話になったが、遠い土地の天候やコロナの感染状況が思いがけないかたち、早さで及ぶような出来事が多くないか。コロナ禍が万物の関係を近くしたかと思わされる昨今だ▼菓子やマーガリンといった身近な食品などで、値上げが相次ぐ。ガソリンまで高い。風とおけ屋ほどの遠いつながりでないが、世界で経済回復への期待が高まり、大消費国の需要が拡大し、そこに農作物の産地で天候の不順が起きて、投機的な動きも加わり、最後には家計の痛みになる。そんな流れがあるようだ▼しばらく前には、木材の高騰が起きている。米国の在宅勤務者の増加が、米国の住宅着工の拡大につながり、わが国に影響が及んだそうだ▼蛇口の盗難事件というのも起きているらしい。公共の場などの水道の蛇口である。コロナ禍から回復途上の中国などで金属の需要が高まって、価格が上がり、盗む対象になっているという▼コロナが収束に向かえば蛇口が消えるでは、冗談にならない。万物相関の時代のいやな話だ。