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今日の筆洗

2021年05月23日 | Weblog

 テレビ創成期のCMソングは商品名や社名を歌詞にこれでもかと入れた作品が多い。「明るいナショナル 明るいナショナル」「ジンジン 仁丹」…。いずれも一九五〇年代の作品で作詞は三木鶏郎(とりろう)。CMで消費者に名を売りたいという時代の熱を感じる▼数多くのCM曲を世に送りだした作詞家の伊藤アキラさんが亡くなった。八十歳。「やめられない、とまらない、カルビーかっぱえびせん」「丸善ガソリン 一〇〇ダッシュ オー モーレツ」。小川ローザさんの白いヘルメットが浮かんでくる▼三木門下の「冗談工房」の出身でもあり、この方も商品名や社名を歌詞に織り込むことに長(た)けていたが、師匠よりも控えめでさりげないか▼代表作の「日立の樹」。<この木 なんの木 気になる木>と社名も商品名も出てこない。お線香の「青雲」にしても、初めて聞いた人はこれがCM曲だとは思うまい▼歌で商品名を連呼する時代から商品や会社に対する良いイメージを喚起する時代へ。CM戦略が大きく変化していく中で伊藤さんの覚えやすくも押し付けがましくない歌詞は光っていた▼伊藤さんの作品ではないが、赤ちゃんに「タケモトピアノ」のCM曲を聴かせると泣きやむと聞いたことがある。オジサン世代は伊藤さんの「VIVA純生」「答え一発カシオミニ」を耳にすると、過ぎ去った昔を思い、涙ぐんでしまう。