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今日の筆洗

2019年10月26日 | Weblog
 

 ナポレオンが残した言葉の一つに「荘厳なものから、滑稽なものまでは、たった一歩しかない」がある。英雄の栄光から、敗走の将軍の憂き目を見て、最期は配流の身となった。高みと奈落の底を行き来した人物の感慨である▼立派に聞こえた言葉も、ふさわしくない人物が言っていたと分かれば、とたんに、滑稽に響いてしまうものだろう。菅原一秀経済産業相が辞任した▼関西電力の金品受領問題を巡って、「言語道断」「ゆゆしき事態」などと言っていた。それが自身の金品配布疑惑で、ゆゆしき事態だ。関電の問題では、コンプライアンスという言葉を使って、法令順守の重要性を語られていた。省への説明がなかったことに憤ってもいた▼なのに、自身の法令順守については、どうも十分に説明責任を果たしたと言えないまま辞めてしまった▼内閣改造からは、まだ一カ月あまりしかたっていない。組閣の際、安倍首相は、「フレッシュな突破力で」「新しい国づくりに、果敢に挑戦していく」などと述べていたはずだ。いきなり新閣僚の辞任という後ろ向きの一歩である。突破や挑戦といった言葉も滑稽に思えてこよう▼おごりとは目が曇ることであろう。長期政権でいわゆる身体検査などもゆるくなってはいなかったか。経産省に限らず、重要課題が多いときである。後退できる余地はそう何歩もなさそうにみえるが。