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今日の筆洗

2019年07月06日 | Weblog

都にすんでいたネズミが詠んだ歌なのだという。<鼠(ねずみ)捕る猫の後(うしろ)に犬の居て狙ふものこそ狙はれにけり>。『御伽草子(おとぎぞうし)』に収められた物語「猫の草子」に出てくる▼綱をつけられていた洛中(らくちゅう)の飼い猫が、おふれによっていっせいに解き放たれた。狙われる身のネズミたちはたまらない。都から逃げ出すのだが、一方で自分たちを追っていた猫が犬に襲われる光景も見た▼追いかけるのに夢中になると、すきが生まれる。だから、狙うものが狙われるのだと説いたようなネズミの歌が、頭をよぎった。スマートフォン決済サービス「7pay(セブンペイ)」の不正使用事件である▼キャッシュレス決済という開拓が始まったばかりの地に、顧客の獲得を狙うべく、満を持して企業が攻め入った。緒戦で得たシェアが、大いにものをいうデジタルの世界である。前のめりになったところに、生じていたセキュリティーのすきを狙われたのではないか▼基本的な安全策の不備や運営企業の防衛の意識の甘さを指摘する声が専門家からあがっている。国境を超え標的を物色する犯罪集団があるというが、周到に狙われていた節もあるだろう▼「浜の真砂(まさご)は尽きるとも世に盗人の種は尽きまじ」。石川五右衛門の辞世とされる歌である。日常生活に先端技術の成果が導入されるたびに盗みや詐欺の種と世の中の憂いが、加わるようでならない。

 
 

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