TOBA-BLOG 別館

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オリジナル水辺ノ世界の作品を掲載

「律葉と秋葉と潤と響」14

2018年12月11日 | T.B.2024年

「さて、今日の狩りだけど」

響が言う。

「潤はしばらく不在。
 秋葉も大事を取って今日はお休み」

つまり今日は2人。
出来ないことは無い、が。

「今日は他の班に混ざるのね」
「それも考えたけど」

じゃん!!と
響は隣にいる人を紹介する。

「こちら、セナさん!!
 俺の狩りの先生」
「話すのは初めまして、かな。
 響から色々聞いてるよ、よろしく律葉」

律葉達よりも一回りは歳が上の青年が
握手を求めてくる。

「………こんにちは。
 名前はよくお伺いしています」

西一族では数少ない
単独で狩りを行う名手。

本名はもう少し長いけれど、
みんな略称のセナ、で彼を呼んでいる。

「律葉、緊張してる?」
「―――ええ。
 名の知れた人だし、歳も違うし」
「格好いいし?」

会話に割り込んでくるセナ。

「それは、いえ、普通?」
「普通かぁ」
「腕前は尊敬していますけど」
「律葉ちゃんが冷たい」

ちぇえ、と握手が空ぶってしまったセナ。

「響の先生だったのね。
 そういうことは早く言って」
「言ってなかったっけ?
 まぁ、及第点は貰ったから
 卒業したけどね」

広場から皆が割り振られた狩り場へと
移動をはじめる。

「そんじゃあ。俺達も行くか」
「はい。
 よし、律葉行こう」
「……行こうって、え?」

俺達?
セナと一緒?

ほら、と響が言う。

「折角だから、
 今日はセナさんに同行して貰おうと思って」

「狩りの名手と一緒に!?」

「うんうん。勉強になるよね~」
「えぇえ、ヤダ。緊張する」
「まぁまぁそう言わずに。
 滅多にない機会なんだから」
「それはそうだけど」

「俺も、村長の息子権限を
 たまには使ってみたと言う訳だよ」

ふふん、と似合わない悪い顔をする響。

「悪いやつね~、響は」
「でしょでしょ」

「お前ら置いていくぞー!!」

早々と歩いて行くセナに
2人は慌てて駆け寄る。

「よし、じゃあ始めよう」

狩り場に着くと
うん、と矢をつがえるセナ。

「えーっと、あっち」

ヒュン!!

「あと、こっち」

ヒュヒュン!!

開始早々、二羽の鳥を撃ち落とすセナ。

「すごいねぇ」
「ええ、手元も狙い先もあまり見て無かったわよね」

手癖でポポン、と矢を2発放っただけ。

「これ、
 見たところで参考にならないやつじゃないかしら」

腕前が違いすぎて。

「だろうな~」

うんうん、と頷くセナ。

「俺のようにこなせとは言わないから
 とりあえず普段通りにやってみろ」

パンパンと手を叩いて言う。

「はいスタート!!
 今日はびしばし指導するから
 頑張れよ~」

「………こうなるわよね」
「勉強勉強!!」

頑張ろうね!とのほほんと言う
響の脇腹を律葉は思いっきり小突く。

「痛ぁい!!!」


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