TOBA-BLOG 別館

TOBA作品のための別館
オリジナル水辺ノ世界の作品を掲載

「山一族と海一族」38

2018年02月16日 | T.B.1998年

「鳥は何だと?」

「案内を」

「……まさか、」

 ヒロノは目を細める。

「山を下りるのか」
「そう」

 メグミが云う。

「さあ、人を集めてちょうだい」
「人を?」
「当たり前じゃない」
「危険だ」
「だから、人を集めてと云っているの」
「お前の暴走が危険だと云っている」
「あなたも来るでしょ、ヒロノ」

 その言葉に、ヒロノは杖を鳴らす。

「これ限りだぞ」

 ヒロノの後ろに控える者に、ヒロノは合図をする。
 すぐに、その者は動く。

「フタミ様にどう説明するんだ」

 イライラしながら、ヒロノが訊く。

「いったいどこへ行くと」
「決まっているでしょう」

 メグミは鳥を見る。

「儀式の場所」
「儀式の?」
「そう」

「まさか、カオリが?」

 ヒロノはメグミを見る。

 メグミは首を振る。

「それは判らない」
「だろうな」

 ヒロノは息を吐く。

「失踪したやつだ」

「でも、大丈夫」

「大丈夫? 何が?」

「きっと、生け贄のことが解決するんだわ」

 集まった者をメグミは見る。

「火事のあとだ」
 ヒロノが云う。
「力のあるやつを皆は連れていけない」

 メグミも頷く。

 その顔触れに、ナオト=イ=ミヤもいる。

 ナオトが云う。

「うちの一族に裏が潜んでいたと云うのは本当か」
「ええ」
「その者が、この火事を起こしたと?」
「はっきりとは判らないわ」
「なら、」
「おいおい」

 ヒロノが口を挟む。

「考えるだけ無駄だ」
 云う。
「そいつらに直接聞くのが早かろう」

「そうね」

 メグミは鳥を放つ。

「さあ、行きましょう」



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