*草食投資隊 : 渋澤 健、中野晴啓、藤野英人のテスラ評論?*東洋経済経済
米電気自動車メーカーであるテスラの最高経営責任者(CEO)、イーロン・マスクがつぶやいたエイプリルフールのジョークによって、同社の株価は一時急落。またSNS大手のフェイスブックは情報ろうえい問題から政治的スキャンダルに巻き込まれ、ネット通販最大手のアマゾンはドナルド・トランプ大統領とケンカをし、グーグルの傘下にあるユーチューブには銃弾が撃ち込まれました。米国のテック企業に何が起きているのか。草食投資隊が米国株式市場の状況を分析します。
ザッカーバーグの議会証言で米国株価はアク抜けも?
藤野:ユーチューブの本社で発砲事件が起こり、容疑者の女性は自殺するという、非常に後味の悪い結末になりました。原因はともかく、最近は何かとFANG(フェイスブック、アマゾンドットコム、ネットフリックス、グーグル)やMANT(マイクロソフト、アップル、エヌビディア、テスラ)と称されてきた米国のテック企業で、スキャンダルが相次いでいます、渋澤:イーロン・マスクの「テスラが倒産した」という冗談ツイートね。「自分で言うか!」って思わず突っ込みたくなりましたよね。本人はエイプリルフールのつもりだったのでしょうが、いきなりテスラ社の株価は一時7%も下落しました。創業者も問題ですが、一従業員が同じことをしたら、会社をクビになるだけでなく、場合によっては損害賠償騒ぎになりますよ。
中野:フェイスブック叩きも終わる気配を見せませんしね。フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOが、4月11日に行われる米下院の公聴会で証言するということですが。
藤野:まあ、公聴会が終わるまでは株価も叩かれるでしょうね。で、公聴会が終われば、早ければ公聴会が始まる前から徐々にアク抜けするというパターンではないでしょうか。その意味では、米国も日本もマーケットの反応は大した違いがないとも言えます。
藤野:フェイスブックは政治絡みで、トランプ政権の誕生やブレグジット(英国のEU離脱)をめぐる英国の国民投票にも影響したと言われていますからね。事実、2016年の米国大統領選挙期間中、トランプ現大統領にとってポジティブな記事が、熱烈な共和党支持者のフェイスブックには上がってこなかったのに、トランプを支持するかどうかで揺れているボーダー層の人々のフェイスブックに集中的に上がってきたと言われています。
それと同様のことが、ブレグジットでも行われたというのですから、フェイスブックは世論形成に利用されたわけです。ただ、この問題で批判されるべきは、フェイスブックのシステムを悪用した連中であって、フェイスブックだけが責められるのはどうかという同情的な意見もあります。
渋澤:当初からCNBCやCNNのコメントが、フェイスブックに対してかなり辛辣ですよね。それこそ、SNSに押され気味だった既存メディアが、ここぞとばかりに叩いているという感じもします
渋澤:ベネッセの個人情報流出は氏名、住所、電話番号、性別、生年月日がメインで、もちろんそれはそれで問題ですが、フェイスブックは投稿内容というプライベートな行動などの情報もすべて流出したわけですから、問題の重大さが違うと思います。
中野:もちろん、だからといってテスラが無価値になるとは思えませんが、長期の調整に入るかもしれません。
藤野:今回はイーロン・マスクの話が中心になってしまいましたが、彼の今後について想像するに、テスラの株価が暴落したら、恐らくトヨタ自動車が買うかもしれません。トヨタ・テスラになれば、これはこれで強いと思うのです。で、イーロン・マスクは面倒な自動車ビジネスから手を引いて、太陽光発電と高速鉄道、宇宙に自分の関心と経営資源を集中させる。