AKB48 チームBのファンより

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日向坂46『月と星が躍るmidnight』を聴く。今年最高のシングルかも。(ときめき研究家)

2022-12-04 22:26:49 | ときめき研究家
カップリング曲にも好きな曲が多く、どの曲も個性的で聴きごたえがある。もう何週間も通勤時に聴いている。私にとって、今年最高のシングルかもしれない。

『月と星が躍るmidnight』。
シングル表題曲らしい楽曲。ゆったりとしたAメロ、Bメロと、対照的に早口で言葉を連射するサビ。耳に残る楽曲だ。
タイトルと歌詞の内容が直結しない。タイトルからはロマンティックな内容かと想像したが、実際は失ってしまった若い情熱へのノスタルジーを歌う苦い歌詞だ。しかし、その苦さがあまり切実に伝わって来ないのはなぜだろう。
大人たちからの抑圧に反発し、熱い情熱を滾らせていたが、いつの間にか反発していたはずの「大人」になってしまったと嘆いている。でも、まだ間に合うかもしれない。もう一度あの頃に情熱を取り戻したい、そのような歌詞だ。でも今は理不尽にグランドを走らされるような抑圧は受けていないはずだ。窓ガラスを割りたいような反発をぶつける相手もいないはずだ。だったら今の自由を謳歌すればいいだけではないか?
推察すると、望みは「あの頃」に戻ることではないのだ。抑圧を受けて、それに反発するだけでは本当の夢は叶えられない。抑圧から自由になった今、自らの意思で自分の道を切り拓くことが必要なのだ。ただそのやり方が分からなくて苦しんでいるのだ。抑圧されていた「あの頃」は、それに反発することが自由だった。でも、もう「あの頃」には戻れない。
夜中に校庭で寝ころび、非常階段から屋上に出たら美しい朝焼けが見られた。この場面は印象的だ。SKE48『兆し』を思い出すような場面だ。新しい朝に、毎日生まれ変わる自分を発見し、本当の悩みと向き合うことができただろうか。

『HEY! OHISAMA!』。
こういう曲調を「スカ」と言うのだろうか? 音楽のジャンルに疎いので自信がないが、管楽器の入った小編成のバンドで、独特のリズム。何となくワクワクする曲調だ。渡辺麻友『ラッパ練習中』と共通する。
歌詞は、日向坂46のテーマソングと言えるような内容。日向坂46はファンのことを「おひさま」と呼ぶようなので、この曲はファンへの呼びかけになっている。ライブでは、老若男女みんなひとつになって、ハッピーオーラで楽しもうという能天気なナンバーだ。チームBで言えば『みなさんご一緒に』のようなものだ。
ファンにとっては嬉しいプレゼント、大切にしたい曲だろう。

『その他大勢タイプ』。
カッコいい彼を追いかけるのには疲れた。ライバルがおらず独占できる「その他大勢タイプ」の彼がいい、というちょっと打算的な歌だ。カッコよくなくても、個性的な魅力を私だけが知っている、というような歌は過去にもあった。『ドリアン少年』『逆転王子様』『ゴルゴンゾーラ』『うしろゆびさされ組』などだ。でもこの曲は、個性的な魅力も不要、「その他大勢タイプ」がいいと歌う。さすがに相手に失礼ではないか?
曲調も、歌詞に対して大仰な感じで、あまり好きな曲ではない。少人数ユニットで、各メンバーの声が聴き分けられる点はいい。

『10秒天使』。
10秒目が合うと恋に落ちるというのは「定説」なのだろうか?てんとうむchuの『君だけにchu chu chu』では、通学途中にいつも見ている彼女と10秒目が合ったと喜んでいた。この曲の彼は、恋に落ちると苦しいからと目を逸らすと歌っている。なんて無欲な片思いだろう。(片思いの貪欲さを分析した過去記事はこちら
教室で斜め前の子に恋してしまうのは、『ポニーテールとシュシュ』の頃からのお約束。
曲調はやや退屈だが、少人数ユニットでそれぞれの声が楽しめる。歌い出しで「教室でぇ さりげなくぅ」と
力なく声が漏れてしまうのは、肺活量がないからなのか? 島崎遥香を思い出してしまう。

『孤独な瞬間』。
まるで中森明菜のようだ。短調のサウンド、低い声。『禁句』とか『デザイアー』を想起させるような曲だ。渡辺麻友が松田聖子、柏原芳恵、小泉今日子を想起させる曲を歌っていたのと同様の趣向と見た。
ソロで歌っているのは斎藤京子とのこと。表題曲のセンターでもあるらしい。現在の人気メンバーなのだろう。声も中森明菜に似ている。
歌詞の内容は『飾りじゃないのよ涙は』へのリスペクトのように思える。17歳の頃の孤独でやさぐれていた自分を思い出しているという歌詞だ。どのようにやさぐれていたのかは具体的ではないが、「ぼったくりバー」「パトカーを呼ばれる」など、なかなかに過激な歌詞だ。中森明菜が「速い車に乗せられ急にスピンかけられた」と歌ったような、象徴的な表現だ。
パトカーは渡辺麻友も『強情な純情』で、「パトカーで帰る」と歌っていた。

『ブルーベリー&ラズベリー』。
切ない曲だ。そして不思議な曲だ。前半部分は普通だが、サビで一ひねりが効いている。
前半で描かれるのは、卒業を半年後に控え、微妙な関係の2人だ。好きだと告げることなく、分かれの気配に怯えている。『ひこうき雲』の2人、『抱きしめちゃいけない』の2人を思い出すような2人だ。
そういう切ない別れを歌った曲と思いきや、サビでムードが一転する。突然歌われる「ブルーベリー&ラズベリー」とは何のことだろう。突然抽象的な歌詞に、聴き手は考えさせられる。
お互いをブルーベリー、ラズベリーと呼び合い、「似ているようで違う2人」だと考えていた2人。友達でもない恋人でもない2人。ブルーベリーとラズベリーのように、似て非なる2人だと再認識したのだろうか。卒業後は、2人はどうなるのか。その不安は小さな果物のように甘酸っぱい。

全く関係ないが、80年代のアイドルグループでベリーズという3人組がいた。それぞれが、ブルーベリー、ラズベリー、ストロベリーと称していたことを思い出した。

『一生一度の夏』。
ベタだけど心を揺さぶられる名曲だ。
夏は毎年来るけれど、今年の夏は人生でも一度きりの夏だから、大事に、悔いがないように楽しもうという歌詞だ。いろんなグループ、歌手が歌ってきた、よくあるテーマで、普遍性がある。例えば、『直角Sunshine』の高校3年の夏は受験で忙しいから会うのは控えよう、などというのは大人の理屈であって、高3の夏にしかできない経験もあるのだ。だから後悔がないよう、やりたいことをやった方がいいというのがこの歌だ。
しかし、これは案外当事者には見えない真実かもしれない。若い時は、人生は永遠で、来年もまた同じ夏が来るものだと根拠なく信じていた記憶がある。

サビのメロディーと歌詞が完璧にマッチしていてゾクゾクする。「一生一度の夏が過ぎて行く なぜだろう涙が溢れ出す」。聴いている私も涙ぐみそうになる。サビに入る直前の大げさな伴奏もまた素晴らしい。
1点だけ、評価が分かれそうなのは、エンディングの歌詞だ。「一生一度の夏 今を大切に」。これは蛇足ではないか?1曲かけて歌ってきたことを、最後に一言で纏めると確かにそうなるが、わざわざ言わなくてもいいではないか?でも、まとめとして最後に言った方が分かりやすい、との意見もあるのかもしれない。

過去のアイドルソングのアイテムも多数登場していて楽しい。
テトラポットは乃木坂46『ざぶん ざざぶん』にも出てきた。
バイトで忙しい彼が突然現れるのは、南野陽子『八重歯のサンタクロース』と同じパターン。
「足跡が消える」「日焼けが褪せる」は、『Everyday、カチューシャ』『さよならクロール』など数多の曲で使われている、もはやアイドルポップの「季語」。
「秋色の風」は松田聖子『風は秋色』。その秋色の風が「手をつなげ」と言う擬人化は、古くは『てんとう虫のサンバ』で虫たちが「口づけせよ」と囃し立てたのと同じ技法。
波がサンダルをさらっていくのは『ガールズルール』だったが、この曲では麦藁帽に変えている。
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