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『JAPAN IDOL FILE 2』を完聴。ベスト10をセレクト。(ときめき研究家)

2020-04-19 17:57:40 | ときめき研究家
地方アイドル64組の楽曲64曲を収録した5枚組CD『JAPAN IDOL FILE』を聴いて、ベスト12曲を選定したのが2013年9月。名前も顔も知らないアイドルの楽曲だけを聴いて、自分がときめくことができるのかを試す刺激的な実験だった。その12曲のプレイリストは今でも愛聴している。
昨年(2019年)夏、中古CDショップで、続編と思われる『JAPAN IDOL FILE 2』を発見し購入した。今回は100組100曲が収録された6枚組だ。発売は2015年だったようだ。
2013年から6年が経過して、私自身のアイドル鑑賞力が衰えていないかを検証する格好の機会だと思った。前回同様、予備知識ゼロの状態で6枚のCDを何回も繰り返し聴いた。最初のうちは、気に入る曲がなかなか出現しなかった。前回は気に入った曲から厳選して12曲に絞ったという感じだったが、今回は何とか10曲掬い上げたという感じだ。しかも100曲中10曲だから、気に入る確率もだいぶ下がった。楽曲のクオリティ自体が低いのか、私の鑑賞能力が衰えたのかは分からない。とにかく10曲は気に入ったのだから、それは良かった。

『うわさのTRENDY GIRL』(ヴァンパイア☆Kiss:東京)。
歌い出しが榊原郁恵の『夏のお嬢さん』にそっくり。ややハスキーなソロボーカルがノリノリで歌っている。歌はうまい。歌詞は英単語と日本語が脈略なく繋げられていて、意味と言うより言葉の響きを楽しむようなコンセプトなのだろう。一語一語追うのは諦めた。「私はうわさのTRENDY GIRLよ、あなたとFall in LOVEしちゃった」というようなことを適当に歌っているようだ。こんな曲があってもいい。

『青春グラフィティ』(USA☆MiMi:愛知)。
私の好きなジャンルの歌だ。「愛する意味を先生は教えてくれない」とか、「卒業式にはないサヨナラを知った」とか、とりとめない落書きのような青春の思いを大切にしたいといった内容。自転車を漕ぎながら歌った歌。パパやママも知らない私たちだけの歌。そういう気持ちはいつまでも大切にしたい。
Aメロは2人が交互にソロを歌い、サビはユニゾンという王道の曲構成。2人の声質が異なるのがいいし、歌唱力がいい塩梅に怪しく、落ち着いて楽しめる。

『そふと部のズンドコ節』(FGヴァンパイア学園塁球部☆Kiss:東京)。
アイドルポップとしておよそ似つかわしくないメロディーに心を鷲掴みにされる。幼少期からドリフに親しんだ刷り込みか、あるいは氷川きよしか。ラテン調のアレンジで、結構ノリノリだ。
歌詞は学園恋愛ものに書き直してあるが、最後の1コーラスはドリフ版をそのまま歌っている。

『ひろしまDays』(etto-etto:広島)。
20代の頃2年間だけ広島県に住んでいたので、贔屓したくなる。懐かしい地名や方言が散りばめられていて楽しい。連呼される「えっと」というのは「とても」という意味の方言。「ぶち」とほぼ同義。小原靖子(のち相原勇)の『恋はBUCHI-BUCHI』を思い出す。
「広島がぶち好きで ここから離れられない」という歌詞ではたと気付いた。森高千里の『渡良瀬橋』で、どうして彼女は故郷を離れて暮らせないのか、親の介護か何かなのかとか常々疑問だったが、単に渡良瀬の街が好きだからなのかも。

『愛のあいさつ~白雪のように~』(Classic Fairy:山梨)。
ソロ曲。久しぶりに現れた、か細い歌声に強いエコーをかけて補っている伝統の歌唱法だ。浅田美代子、伊藤つかさ、中山忍から続く「声量不足アイドル」だ。その割には難しい楽曲を与えられている。エルガーの『愛のあいさつ』をベースに、アレンジには『トルコ行進曲』や『パッヘルベルのカノン』なども登場するクラシック好きにはたまらない楽曲だ。

『セーラー服とルーズソックス~100万回アイアイテル~』(GAL💛DOLL:東京)。
波の音から古いラジオをチューニングするような効果音、そして曲のイントロに繋がる。これは遠い夏の日を回想しているという意味だと解釈した。ルーズソックスが流行り始めた頃に青春を過ごした大人が、脳内でプレイバックする思い出を歌っているのだ。そう解釈するとあまりにベタな楽曲も納得できる。
「セーラー服に着替えたら」という季節に学校でラブレターを渡し、めでたく付き合い始めて海に行き「セーラー服を脱ぎ捨てて」という急展開。もちろん下に水着を着ていたのだろうけど。

『夏の魔法』(RYUTist:新潟)。
『JAPAN IDOL FILE』のベスト12にも選定したグループの曲が、今回のベスト10に1曲だけ入った。ナッキーさんお気に入りのグループだが、忖度は全くない。選曲した後でグループ名を確認した。
水着や浴衣といった「夏の魔法」で彼を夢中にさせたいという内容。ベタだけど楽しい。ソロパートを繋いで行く構成も好ましい。「(本当は来週の花火も)見たいのね。」という文末は、普通は「見たいのよ。」だろうが、珍しい言葉遣いがカワイイ。

『貴族で庶民な女の子』(髭男爵山田ルイ53世プロデュースまどもあ54世:東京)。
私は貴族だけど庶民的なのよというコンセプトソング。豪華客船より公園のボート、キャビアやフォアグラよりたこ焼き、オートクチュールのドレスよりジャージが好きというような歌詞が続く。本当に貴族の末裔なのか、タイムスリップして来たのか、あんまり真剣に考えない方がいい。何だか楽しい。
パンがなければ私の手作りのケーキを食べてよ、というのが落ち。健気な恋心を歌った曲でもあるのだ。オールユニゾンの歌唱も清々しい。

『ふたつめの太陽』(CREO:愛知)。
片思いの彼氏をふたつめの太陽に例えて歌う片思いソング。ありがちだが、ときめく。グランドを駆ける彼の背番号は10だと終盤で判明するが、野球部ではなくサッカー部なのだ。
この曲もソロ曲。エンディングのメロディーは初めて出て来るメロディーだが、サビの裏メロのようで新鮮。この曲の聴きどころだ。

『Tic-Tac-Tic』(三好爽:東京)。
これもソロ曲。今回はソロ曲が多かった。それから東京のアイドルが5曲も入ってしまった。
ミディアムテンポで特徴のない曲だが、何回も聴いているうちに「Tic-Tac-Tic」というサビが脳裏に焼き付いてしまった。すこし気だるそうな歌い方も、東京と言われてみれば都会的だ。

以上の10曲を毎日通勤電車で聴いているとどんどん好きになって来た。何とか掬い上げた10曲だったが、結局は、前回の12曲同様、私の人生にかけがえのない、出会えてよかった楽曲になった。私の鑑賞能力もまだ枯渇はしていないようで安心した。
また今回、私が地下アイドルのライブ等をあまり得意でない理由もわかった。初めて聴いた楽曲では、なかなか良さが分からなくなっているからだ。楽曲関係なしに彼女たちのパフォーマンスを楽しむといったこともできないので、初見のアイドルの良さを充分感じ取ることができないのだろう。だから、予習として何回も聴いたことがある楽曲が披露されるメジャーアイドルのコンサートの方が向いている。

ところで、彼女たちのような地方アイドルは、今は苦難の時だと思う。2015年発売のCDに収録されているアイドルたちのうち何組が現在も活動を続けているかはわからないが、続けているとすれば、ライブやイベントは自粛だろうし、活動の機会はネット配信などに限定されているだろう。
私は書斎派なので楽曲さえ聴ければ満足だが、生で彼女たちのパフォーマンスを鑑賞したい現場派のファンも寂しい時を過ごしているだろう。
一日も早いウイルス収束を祈る。
コメント
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