新・日曜炭焼き人の日記

炭遊舎のホームページで書いていた「日曜炭焼き人の日記」を引きついで書いていきます。

GDP600兆円?

2015年10月15日 | 日記

「GDP600兆円」「1億総活躍」ってなんでしょう。安全保障関連法案を強行採決したつぐないに、安倍内閣の人気回復のためにうちだした幻のことばのようにしか思えません。  
 GDP600兆円ははたして達成できるでしょうか。かつて高度経済成長をとげて、国民の名目上の所得が大幅に伸びたのは事実ですう。そのころはまだ日本の周辺の国ぐにが発展途上にあり、安価な資源や労働力を利用することができました。つまり周辺の国ぐにを搾取することによって日本は繁栄を謳歌することができたようなものです。アメリカもヨーロッパも先進国といわれる国ぐにはみな発展途上の国を搾取して繁栄してきたといっても過言ではないでしょう。ところがいま、かつて発展途上にあった国ぐにはそこそこに発展し、もはや搾取できる対象ではなくなっています。いま日本ではミャンマーに目をつけて多くの企業が進出しようとしているようですが、目論むところは過去にしてきたこととおなじですから遅かれ早かれ行き詰まります。ミャンマーだっていつまでも発展途上ではいないでしょう。
 いまアメリカでも日本でも、資本家たちは資本を増殖させる手段を国内に求めているようです。アメリカではサブプライム問題が明るみに出ました。これは返済する能力の乏しい人たちに住宅ローンを組ませ、返済できなくなると宅地も住宅もとりあげてしまうというあくどいものです。日本では労働条件を緩和する名目で非正規雇用をふやしています。いまや全労働人口の37パーセントを非正規雇用が占めているようです。低賃金で長時間働かせることによって資本家たちが搾取しているのが現状です。
 国外に搾取する対象がなくなったときには国内にそれを求めるのが資本家たちのやり口なのでしょう。これでは国全体としての繁栄は望めません。大企業が儲け、その株主たちだけが恩恵を受けることになります。中小企業も非正規雇用者も搾取されるばかりで、貧富の差はますます広がっていきます。
 水野和夫氏はそれを資本主義の終焉だと考えています(「資本主義の終焉と歴史の危機」)。堤未果氏は大企業が牛耳る政治のせいだとします(「(株)貧困大国アメリカ」)。二人は期せずしておなじ結論に達しているようです。堤未果氏は、資本主義の行き着くところは一部大企業の寡占化とその株主たちの貪欲、また彼らが実質的に政治を支配している姿を描き出しています。TPP交渉が秘密裏に進められながらも、アメリカの一部企業が抱えるロビイストたちが暗躍しているという噂が絶えないことがそれを裏づけているようです。
 


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