新・日曜炭焼き人の日記

炭遊舎のホームページで書いていた「日曜炭焼き人の日記」を引きついで書いていきます。

1968年民主党大会(その3)

2020年07月18日 | 日記

 翌月曜の夜、警察の暴力はいっそう激しさを増した。だれかれかまわず警察は殴打した。デモ隊を鎮めようとしていた牧師が殴られ、自転車で帰宅途中だった人が湖へ放り込まれた。民家から顔を出して騒動を眺めようとした人が顔に催涙スプレーをかけられた。前夜の経験からより大きな目立つ記者証をつけた記者がいたが、警察の目をひきやすくしただけだった。メディアはいっせいに警察の暴力沙汰を書きたてたが、デイリーは「デモ隊と記者を見分けることができるか」とうそぶいているだけだった。
 水曜夜。シカゴ一の繁華街であり、おしゃれな店舗が軒を連ねるミシガン通りにヒルトンホテルがある。そこで暴動が発生する。警官隊が警棒を振りかざしながらレストランのガラス戸をたたき壊し、乱入する。ホテルのロビーにまで押し入る情景がテレビ画面に映し出された。メディア史に残る警察官の乱闘事件だった。アンフィシアターの会議場でも、同時進行している警察の乱闘事件を取り上げて発言する代表議員がいた。「ここにいるマクガバン議員を大統領にすれば、シカゴの通りにゲシュタポを出現させるようなことはない」とまでいうと、議場のデイリー派の議員たちがいっせいに立ち上がり、マクガバンを演壇から引きずり下ろしてしまった。
 木曜日、デイリーはとつぜんテレビ出演する。人気司会者ウォルター・クロンカイトの番組だった。番組内でデイリーは、民主党大会に際して要人を殺害する旨の脅迫状が何通も届いていたことを明かす。だから行き過ぎと思われるほどの要人警護を固めたのだと言い訳する。ただその脅迫状はデイリーのもとに秘匿されたままであり、だれも確認できていない。金曜日に民主党大会が終了し、全米各紙はデイリーをネオファシストだと攻撃した。
 
 以上、簡単だが、1968年民主党大会の混乱ぶり、シカゴ市長デイリーの舵取りぶりを紹介してきた。2020年共和党大会はどのようなものになるのだろう。




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