新・日曜炭焼き人の日記

炭遊舎のホームページで書いていた「日曜炭焼き人の日記」を引きついで書いていきます。

恋の浮島

2014年06月17日 | 日記
大西洋上に浮かべられた愛の島。ウェヌス(ヴィーナス)がポルトガルの船乗りたちがなめてきた艱難辛苦をねぎらうために作った架空の島だ。島には緑なす自然、豊かな果実をたわわに実らせた木々があり、そしてキューピッドの矢に射られて欲情をかき立てられたニンフたちが沐浴したり、木陰にたたずんだりしながら、上陸してくる船乗りたちを待ち受けている。
 島に近づいていくのは、苦労の末にインド航路発見という目的を果たして母国ポルトガルへ戻る途上にあるヴァスコ・ダ・ガマの一行だ。
 ポルトガルの船乗りたちが偉大なる業績をあげることを快く思わないバッコス(バッカス)が、船が喜望峰を回るときに嵐を起こし、寄港地ではイスラム教徒たちにたきつけて、インド航路発見を阻止しようとあの手この手で邪魔をしてきた。バッコスは自分が味方するローマ建国の士の名声が陰ることを恐れていたのだった。
 地上の楽園は海の上に浮かべられ、ガマたちの船が見える位置に引っぱって行かれるように仕組まれていたので、浮島と呼ばれるのがよい。ルジアダスでは第9歌の99連のほぼすべてが恋の浮島の叙述にあてられている。
1980年ごろ、パウロ・ローシャ監督がヴィンセズラウ・デ・モラエスの日本女性との恋を描いた映画に「恋の浮島」という題名をつけたのは、ルジアダスのこの場面をモチーフにしてのことだったと思われる。


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