2021年度から予定されている大学入学試験、共通テストの英語民間試験の導入が延期され、さらに国語と数学の記述式問題出題も延期される気配になってきた。原因は、採点に公平性が保証できないことらしい。しかしそれ以外にも問題が多い。
考えてみれば共通テスト自体が文科省から教育関係業者に丸投げされているようなものだし、その業者がさらに関連会社に採点業務を委託することになる。採点業務を委託された業者は採点にあたる人を一時雇用する。一時雇用される人は文科省から見れば孫請け、いやもう一つ下のひ孫請けということになる。
お金は上から下へと流される。文科省から流されたお金がひ孫に届くまでには各段階でピンハネがなされ、ひ孫にはスズメの涙ほどの報酬が支払われる仕組みになっているはずだ。
先月中ごろ、共通テストを請け負っているとされるベネッセ・コーポレーションが高2生を対象に実施した共通テスト対策模擬試験は、なかなかの良問をそろえていた。これはベネッセが優秀な作問者を確保していることを示している。具体的には大学教員、予備校教師らに作問を依頼していると思われるが、ベネッセが優秀な人材を抱えていることは間違いない。英語民間試験の一つ、GTECHもベネッセが実施している試験であり、近年大きくそのシェアを伸ばし、実用英語検定試験(英検)に急追している。
そうした模擬試験の採点には大学院生、大学生があたっているようだ。採点基準は作問者とその周辺の人がつくっているだろうが、その基準に基づいて採点するのは大学生が多い。大手予備校の試験監督や採点をも請け負っているこれらの大学生が、2021年からの共通テストの採点者としても期待されていたはずだ。
高校の退職教員も採点者の候補に挙げられているが、多くの退職教員は現役時代、高校入試の採点でうんざりしているので、スズメの涙ほどしか報酬の出ない仕事に応じる人は少ないと思われる。
すべてを下請けに任せる時代が、この先もつづきそうだ。
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