吉田のうどんを食べたくなって、富士吉田市、富士山駅近くの「ふじや」へ入った。注文した天ぷらうどんは6,7分で供された。大きなかき揚げと吉田うどんのシンボルマークともいうべきキャベツの下にいくらか茶色っぽい太い麺が隠れている。まずは麺を口へ運ぶ。コシがある。かみ切るにも力が入る。大きめのどんぶりからかき揚げがはみ出ている。急に不安になった。食べきれるだろうか、と。
朝早く家を出て、二分咲きだった富士芝桜まつりの会場へ行き、本栖湖畔の絶景スポット、つまり千円札に採用された逆さ富士の写真が撮影されたという地点に赴いたあとで、ほどよい空腹を感じていた。それなのに、食べきれないのでは・・と不安になるほどの量が目の前に供されている。
吉田のうどんを食べるのは、これがはじめてではない。これまで5,6回は食べている。そして吉田のうどんを食べさせる店をことごとく紹介している地図までゲットしていた。その地図をみて探し当てた店が「ふじや」だった。ふつうの家を改装して営業しているかのようなたたずまいの店の暖簾をくぐる。まだ11時半だというのに地元の人でほぼいっぱいになっている。靴を脱いで入り、座卓に座る。これまで食べた店もこの形式だった。地元の高校生がつくったという写真つきのメニューをみて、テーブルに備えつけの注文票に自分で記入し、店の人に渡す。水はセルフサービスになっている。
洗練された味と食感をもつ讃岐うどんとは対極に位置し、いかにも田舎っぽい味をウリにしているのが吉田のうどんだ。かならずキャベツがトッピングされていることもその田舎っぽさを強調しているように思えるが、なんといっても麺のコシの強さ、舌触りのざらざら感にいちばんの特徴がある。これにやみつきになる人が吉田のうどんを支えているといっても過言ではないだろう。私もそれを気に入っていた。だからこそ、また食べに来たのだった。これまで食べ残したことはなかった。だが、今回はまいった。
量の多さよりも吉田のうどんのパワーに圧倒されてしまった。麺類は好きだ。ラーメンをはじめスパゲッティ、そばなどなんでも食べる。食べ残すことはまずない。ところが今回はどうしたことか。年齢のせいだろうか。うどんがもつパワーに対抗できるだけの体力と気力がなければ、一人前を平らげることはできないのか。体力の衰えをなんとなく感じさせる出来事になった。
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