新・日曜炭焼き人の日記

炭遊舎のホームページで書いていた「日曜炭焼き人の日記」を引きついで書いていきます。

作曲家、古関裕而

2020年01月21日 | 日記

 NHKラジオ第一で昼12時15分になるとかならず流れてくる牧歌的なメロディー、もう何十年と聞いてきた「昼のいこい」のテーマ音楽だ。これを作曲したのが古関裕而だった。一日に2回、週5日(?)流され、それが1952年からつづいているのだから、いちばん頻繁に電波に乗っている音楽だと結論して間違いないだろう。そのほか昭和24年に藤山一郎が歌った「長崎の鐘」、昭和28年の連続ラジオ放送劇「君の名は」の主題歌、選抜高校野球で歌われる「栄冠は君に輝く」など、古関裕而が作曲した曲は、あげれば枚挙にいとまがない。
 いっぽうで「若鷲の歌」「暁に祈る」など軍歌を数多く作曲しているので、この人を毛嫌いする人がいる。古関裕而の自伝を読んで、この人はとてもナイーブな人なんだなあ、という感想をもった。生まれながらの作曲家といってよさそうだ。頼まれればなんでも作曲する。五線譜をまえにすると自然にメロディーが浮かんでくるから、それを書き留めるだけ。その数は5000曲以上になるがご本人も正確な数を知らない。しかし他の人から「これはあなたの曲ですか」といわれて曲を聞かされれば、自分の曲らしいことに気づくという。天才作曲家とはこの人のことだろう。
 数か月ほど徴兵されている。軍が間違って徴兵してしまった。作曲活動で十分に軍に貢献している人を「古関勇治」という本名のゆえに、あの高名な作曲家だと認識せずに徴兵してしまった。まもなく除隊を許され、ふたたび作曲に専念する。戦地に出向く人たちを鼓舞するメロディーをつくろうと思えばいくらでもつくれる。頼まれればいやといえない性格は、自伝にも表れている。すべてを正直に包み隠すことなく書いてくれているので、当時の社会のようすがありありと分かる。自分の仕事が軍のためであろうと、人の役に立つことなら嬉々として従事する。
 これに似た人をもう一人知っている。栄養学者、川島四郎だ。新潮文庫「まちがい栄養学」を読んだことがある。戦時中は陸軍に所属しながらも、軍務に従事するというより兵士たちの栄養状態をよくするために尽力した。軍のなかでも研究職の扱いを受けていたようだが、ご本人は軍所属であることをほとんど厭うことなく、やはり嬉々として自分の与えられた栄養学の研究にいそしんだ。
 古関裕而と川島四郎、ふたりとも社会全体を見ているというよりも、自分のおかれた位置で、自分の役割を果たすことを楽しんでいたというべきだろう。



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