新・日曜炭焼き人の日記

炭遊舎のホームページで書いていた「日曜炭焼き人の日記」を引きついで書いていきます。

共通テストの英語問題に思う

2021年01月17日 | 日記

 共通テストが実施された。大学受験生の多くが受験した。
 英語リーディングの問題に目を通した。「筆記」をリーディングと改称し、まさにその名のとおり英文を読みとる力を試す問題だけに特化されている。
 おおむね読みやすい文章がつづき、問題としては良問がそろっている。問題は量の多さだ。A4判の用紙で正味31ページ分の量がある。80分の時間制限があるので、解答用紙に解答をマークする時間を除外すると1ページを約2分で読んでいかなければならない。英文を読み慣れている人にとってはなんでもないかもしれないが、英語の勉強をはじめて6年しか経たない多くの受験生にとって、かなりハードな作業だ。
 文章を読んで設問に答える。だが設問を目にしてふたたび文章を読み直すだけの時間的余裕を与えられていない。くり返し読む時間を与えないのは、どういう了見だろう。文章を読んだ後に提示されるたいていの問題は、文章のなかのそれについて書いた部分を探し出し、もういちど読み返すことを要求しているように思える。
 速く正確に読解することを受験生に要求するなら、文章を読ませるより先に、何を読みとればよいかを示唆するべきではないか。つまりおもな問題を先に提示しておいて文章を読ませれば、受験生はその点を読みとることに重点を置きながら文章を読み進められる。
 英文を再読するための時間的余裕を受験生に与えないのであれば、再読する必要がないように問題を先に提示すればよいだけだ。もちろん設問によっては全文を読んだ後で答えるものがあってよい。その場合は文章の後に設問をおけばよい。
 多くの大学の個別入試についても同じことがいえる。多くの受験生が受験する難関大学といわれる大学は、英語の問題ではきそってその出題量を増やしているようにみえる。それならそれで受験生が答えやすいように、作問する人は設問と文章の順序を再考してほしい。
 それでも不満は残るなあ。文章をじっくりと考えながら批判的に読める人材育成を目指すべき大学が、なんでこんな入試問題をつくっているのだろう。これも政治に見られるポピュリズムと同じではないか。

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