新・日曜炭焼き人の日記

炭遊舎のホームページで書いていた「日曜炭焼き人の日記」を引きついで書いていきます。

ナンシー・レーガンの野望は果てしない

2021年04月25日 | 日記

 3月9日にこのブログで「ナンシー・レーガン」を読み始めたことを書いているので、あれから1か月半になる。200ページ近くまで読み進んだ。ロナルド・レーガンが俳優としてたいした役柄を演じることなく俳優協会の会長になって辣腕を振るい、ナンシーと結婚し、ナンシーの名(または迷)プロデュースによりカリフォルニア州知事になり、1970年の州知事選で再選されるところまで来た。
 ナンシー・レーガンが州知事の代わりに、州の法案作成や成立に向けて根回しするようすまで描かれている。1970年といえばベティー・フリーダン、グロリア・スタイネムといったウーマンリブ活動家の名前が思い出される。ナンシーは彼女たちの所業をせせら笑っている。「女の幸せは結婚して家庭をもち、夫と子どもと一緒に暮らすことにある」と伝統的な、いかにも保守的、共和党的な考え方を披瀝しているにもかかわらず、夫の前妻の子どもを遠ざけ、結婚してまもなく生まれた娘ともソリが合わず、理想的な家庭とはとてもいえない家庭を築き上げている。ただ夫を通して自分の野望を達成しようとするしたたかさは、これも方向を間違えたウーマンリブといえなくもない。
 グロリア・スタイネムが「女は男を必要としない。それは魚が自転車を必要としないのとおなじだ」と勇ましいことをいって有名になり、それから30年近くのちにグロリアが結婚したとき、メディアが「魚が自転車を得た」と報じたことを、このブログで紹介したことがある。このブログは、たぶんそのタイトルのユニークさのゆえに、ときどき読んでいただいているようだ。
 ナンシーなりの、自分の野望を達成するやりかたは、このあと夫を大統領にし、ホワイトハウスの運営を牛耳るまでつづいていく。これからが著者キティー・ケリーの真骨頂になるだろう。
 ところでカルフォルニアの州都はどこだろう。ロサンジェルスだとばかり思っていたが、そこから北へ500キロほど離れたサクラメントだった。本書では、ロスに家があるレーガン家が、サクラメントにある公邸を改修して引っ越すかどうか逡巡しているようすが描かれているが、サクラメントが州都であり、州議会場がそこにあることが周知の事実として、何も説明されないまましばらく記述が進むので、私のような門外漢にはずいぶん読み進んだあとで、「州都はサクラメントだったのか」と気づかされることになる。これはうかつだった。意外だった。ロスでもサンフランシスコでもない、あまりその名を聞いたことがない都市が州都だったとは・・。