あしかがフラワーガーデンの藤が見頃を迎えている。
藤野に移り住むようになったころ、藤野には藤が多いでしょう、といわれたことがあった。たしかに多い。山肌に目をやると萌え出る若葉の薄緑のなか、あちらこちらに薄紫がひときわ映えている。近所に住むOさんが、かつてご自宅の2階の窓のすぐ外に垂れている自然の藤を見せてくれたことがあった。Oさんは毎年この時期、自然の藤をわがものとして楽しんでおられることだろう。
藤野の地名は藤が多いことからついたものか、と思われるかもしれないが、それは民間語源の一種だろう。相模川の縁に開けた土地、つまり「ふちの」に由来するようだ。川縁には「小渕(おぶち)」という地名も見られる。奥牧野のKHさんによれば、藤野地区に住んでいる人たちが費用を出し合って、藤野駅誘致運動を進めた、または藤野駅を建設したそうだ。結果として藤野駅ができ、藤野の地名が定着したと思われる。現在私たちが藤野駅を便利に利用できているのは、藤野地区の住民たちの経済負担と努力によるものらしい。この点については、きちんとした検証が必要だが。
ともあれ、足利まで足を運ばなくても、地元にある藤をもっと楽しむことにしよう。