新・日曜炭焼き人の日記

炭遊舎のホームページで書いていた「日曜炭焼き人の日記」を引きついで書いていきます。

バブリーな時代

2017年12月24日 | 日記

 大関が7勝7敗で千秋楽を迎える。対戦相手はたいていは別の大関か、関脇あたり。まちがいなくその大関は勝つ。大関は角番を脱出するか、あるいは負け越すことなくぶじに次の場所を迎える。こんな取り組みを何度も観ていたころ、私の直感を裏づける本が出た。「Freakeconomics」。邦訳のタイトルはたしか「やばい経済学」だったか。これはおかしいと直感したアメリカ人ライターが、統計学的手法で調べ上げた。7勝7敗で千秋楽を迎えた大関の勝率の異常なほどの高さ、それはなにを意味するか。――ちなみにこの本は、ほかにも興味深い話題を取りあげている。記憶に残っているものでは、アメリカの小学校で、生徒のテストの点数で教員の給料の額が左右されるために起こる、テスト点の改ざんという不正行為、アメリカで70年代に成立した堕胎防止法のためにその十数年後に爆発的に増えた青少年犯罪の数などがある。――
 造形美術作家の北川健次氏がブログでめずらしく大相撲を話題にされている。勝新太郎が三国連太郎と対談しているさなか、とつぜん貴花田の取り組みの時間が気になりだした。いまの貴乃花親方だが当時はまだ横綱になるまえ、実父が率いる藤島部屋に所属し、ガチンコ勝負を貫いていた。藤島部屋は八百長にのる気配をいっさい見せないために、ほかの部屋からは煙たがられていたらしい。勝と三国の対談のなかに、当時の相撲界の風潮を臭わせるくだりがある。
 さて今回の事件、はじめのうちは日馬富士の暴力にバッシングを浴びせ、その後、貴乃花親方の意固地なまでの沈黙を疑い、いまではどうやら貴乃花親方の頑固なまでの相撲道を賞賛しながら、相撲協会のふがいなさをバッシングする方向へと進んでいるようだ。メディアが導く世論などあやふやなものだ。
 憶えているだろう。小池都知事が率いるグループが7月の都議選では大勝したのに、10月の衆院選では大敗したことを。あれは何だったのか。メディアは小池氏の失言のせいだ、「排除します」発言のせいだとバッシングした。しかしそれを引き起こしたのは一にも二にも有権者の投票行動だったし、それを助長したのがメディアだった。そのときの風で選挙結果が左右されてしまう民主政治の危うさが露呈されてしまったことを真摯に反省している暇もなく、次から次へと事件がつづいている。
 これこそバブリーな時代といえないだろうか。