新・日曜炭焼き人の日記

炭遊舎のホームページで書いていた「日曜炭焼き人の日記」を引きついで書いていきます。

すいとんを食べながら

2016年12月19日 | 日記

 18日は恒例の「ふじのやまなみクロスカントリー駅伝大会」の日。NPOの作業日でもあり、駅伝の見学はできなかったが、奥牧野のボランティアグループが作ったすいとんをご馳走になった。
 すいとんは、小麦粉を固めた餅にジャガイモ、タマネギ、にんじんなどの野菜が入り、味噌を溶かしてあった。久しぶりにお会いしたSTさんは戦前の生まれだからおそらく懐かしい食べものだろうが、私のような年代のものはすいとんにとくべつな思い出をもたない。年配の人たちから話によく聞かされ、ときどき作って食べさせてもらった程度だ。すいとんを作って駅伝の関係者たちにふるまっている奥牧野の人たちはもちろんすいとんを懐かしむ年代の人たちだ。駅伝関係者は10代から20代、30代がほとんどだから、このような食べものをどう感じただろうか。
 秋にアケビの実をいただいた調布のMTさんにも久しぶりにお会いした。私より若いが、すでに仕事を半分引退して、山歩きを楽しんでおられる。趣味の合間に仕事をするという、じつにうらやましい生活スタイルだ。
 STさんは相変わらず福祉作業所の理事長を務め、こんど新しい建物を建てることになったとか。後任が見つからないので77歳になったいまも現役を続けている。
 さて弁当とすいとんを食べ終えて、台地の上に寝転がった。乾燥した大地に柔らかな芝草、風がないうららか天気、雲ひとつない青空にときおり飛行機がとぶ。Indian summerという英語表現が頭に思い浮かんだ。小春日和ということばよりIndian summerのほうが含蓄がある。
 だがIndianはアメリカ先住民を指すことばで、あまりよい意味はない。ヨーロッパから渡ってきたアメリカ人にとって先住民はむかしは敵であり、侮蔑の対象であり、嘘つきの代名詞のようにされた。Indian summerはほんとうの夏ではないのにまるで夏であるかのような日、つまり嘘の夏を意味する。いまでは使ってはいけない表現(タブー)になっているはずだが、なんとなくロマンチックな雰囲気を醸し出す表現として私の語彙のひとつになっている。
 藤野を外国人に紹介するウェブサイトを立ち上げる計画があるらしい。NPOで伐採を担当するSさんに焦点をあてた取材が入った。英語で藤野を紹介するサイトができれば、藤野在住の陶芸家や人形作家などをじかに訪れる外国人観光客が増えることだろう。観光地を訪れるのとはひと味ちがった旅行を楽しむ人が多くなるはずだ。期待したい。