新・日曜炭焼き人の日記

炭遊舎のホームページで書いていた「日曜炭焼き人の日記」を引きついで書いていきます。

ミシュランのグリーンガイド

2015年09月26日 | 日記


 ミシュランのガイドブックには赤い表紙のレッドガイドと緑の表紙のグリーンガイドがあります。高尾山がミシュランに載ったおかげで外国人観光客が押し寄せるようになったのは、グリーンガイドに載ったということでしょう。
 写真は私が所持しているグリーンガイドのうちもっとも古い版で、1979年にはじめてヨーロッパを漫遊したときに携行したものです。
 ミシュランのグリーンガイドは、当時ヨーロッパを観光旅行する人のうち半分以上の人が携えていたガイドブックだといっても過言ではないぐらいに普及していました。ほかに適当なガイドブックがなかったのかもしれません。日本橋丸善へ行くと、ヨーロッパの国ごとのグリーンガイドが並んでいました。アジアの国ぐにやアメリカの版は当時はまだ出版されていなかったと思います。「地球の歩き方」もまだなかったか、その存在が知られていませんでした。マドリッドからポルトガルへ向かう長距離列車のなかで、グリーンガイドで熱心に建築物の説明に読みふけるアメリカ人の若者を見て、ひとりで孤独な旅行をする私は同じグリーンガイドを携えていることに勇気づけられたものでした。
 ポルトガルの大学町コインブラを歩きまわったときのことです。見るべきモノのほとんどは大学関連の建物で、ミシュランのグリーンガイドには大学の由緒ある門、図書館、チャペル、修道院、見晴らしのよい場所などが地図とともにことこまかく記されています。町を歩いて観光する人たちのほとんどがそのグリーンガイドを小脇に抱えています。彼らはガイドブックに記されているところを順にめぐっていますし、私もそうしているのですから、どこへ行っても同じ人たちに会います。それどころかたどる道順もガイドブックどおりで一緒です。同じガイドブックをもって同じところを見学し、同じ説明文を読んで同じように納得し、感動するという、なんとも滑稽なことが起こっていました。ご存知のようにミシュランはフランスのタイヤメーカーであり、自動車でヨーロッパの国ぐにをめぐる人たちのためのガイドブックと地図を出版しています。だからまず自動車を駐車するところを記します。それから歩いてどう回れば効率的かを示してくれています。
 グリーンガイドでは見学地の価値を★印の数で示しています。高尾山はミシュランでは★印がいくつ付されているのでしょうか。最高ランクは★三つです。リスボンの町自体には★が三つついていますが、観光の目玉であるジェロニモス修道院は★二つしかついていませんし、テレビでよく紹介されるポルトの町は★ひとつです。その評価は意外に手厳しいようです。