鄙びた温泉に行ってきた。島根県の温泉津（ゆのつ）温泉。現地に着くまで「おんせんつ・おんせん」と読んでいた。ガイドブックをちらちら見たかぎり読み仮名はない。「おんせん」が２つもついて「温泉のなかの温泉」という気分になる。むかしは湯治場として栄えたらしい。むかしのまま時間が停まってしまったような一画で、道路は車がすれ違うのさえままならない狭さ、旅館などの外壁は古いままのものがおおい。泉質は悪くない。湯の花が浮いている。効能書きなど書かれたものはないが、宿の女将によればけがや腰痛に効くとのこと。６室しかない旅館を夫婦が経営している。その日の客は私たち２人だけ。夜は山陰の海の幸に舌鼓をうった。