牛カルビや牛ロースなど、日本人が韓国の代表的な料理としてイメージする牛焼き肉は、実は韓国では庶民の食文化にあまり定着していない。
農耕社会で牛は一家の大きな労働力であり、大切に扱った。
韓国社会で唯一日常的に牛肉を食べたのは直接農業とは係わりない宮中だけだった。
庶民が牛肉を食べられるのは牛が死んだときや、特にめでたい日くらいで、それも年にほんの数回。
たいていの場合豚、ヤギ、犬、鶏など比較的手に入れやすい畜肉を食べたのだが、それも頻繁ではない。
そういったこともあり、牛焼き肉は家庭の定番料理にはならなかったのだ。
牛焼き肉は近代以降、贅沢な外食料理として人気を得て、現代に入ってから牛焼き肉は高級食として韓国を訪れる観光客の定番となり、それが国の経済成長につながって韓国人にも普及し始めた。
特に近年「韓牛」といって韓国産の高級ブランド牛肉が有名だ。
70年代以降、若者を中心にサムギョプサルと呼ぶ、豚の三枚肉の塩焼きが広まった。
高級牛肉に対抗する庶民焼き肉として人気で、いまでは韓国を代表する料理となっている。
日本の焼肉店でもサムギョプサルを扱う店も多くなった。