免税店業界と航空会社が、中国からの団体観光客に「うれしい悲鳴」を上げている。特に、今月13日から約1万1000人の宝健グループのインセンティブ観光団が済州を訪れており、済州地域の経済はその恩恵を十分に享受している。済州を訪れる中国人観光客は2000年の5万7000人から05年には11万5000人、昨年は40万6000人と急増している。
中国人観光客の存在は、宝健グループの李道総裁が「われわれの購買意欲は盛んだ」と話すほど、旅行業界では「大切な客」として通じている。済州道は宝健観光団が宿泊費や食費、ショッピングに使う支出額だけで401億ウォン(約27億7238万円)に上り、地域経済に及ぼす総合的な波及効果は914億ウォン(約63億1897億円)に達すると推計している。
財布のひもが緩い中国人観光客が、ショッピングに最も熱を上げる場所は免税店。中国人観光客は7月1日から9月15日まで、ロッテ免税店済州店だけで、全体の売り上げ(1400万ドル=約10億7688万円)の71.4%に当たる1000万ドル(約7億6920億円)を消費した。この期間、中国人に対する売り上げは、前年同期比77.6%も上昇した。同様に、新羅免税店済州店でも、7月から中国人観光客に対する売り上げが前年同期比130%もアップした。
免税店によると、中国人が最も好む品目は、ブランド時計やハンドバッグ、化粧品だ。新羅免税店の関係者は「中国の一部の富裕層が、ロレックス売り場に陳列された時計を一度にまとめて購入したこともある」と話した。実際に新羅免税店でロレックスなど高級時計の売り上げは前年比120.8%も上昇した。
秋夕(中秋節=今年は9月12日)連休が終わり、閑散期に入った航空各社も、中国人観光客のおかげで盛況を博している。航空業界によると、アシアナ航空は済州を訪問した宝健グループの観光団の半分以上に当たる約6800人を、大韓航空は約2000人を輸送した。
アシアナ航空は同グループの観光団を誘致するため、昨年12月に中国地域本部長が現地旅行会社の社長を何度も訪ね、搭乗を積極的に依頼したという。
アシアナ航空はさらに、宝健の団体旅行客に対し円滑な手続きを行うため、北京や上海など中国国内8カ所の空港に専門担当職員を配置し、機内では歓迎放送も行った。
中国人観光客特需は、格安航空会社にも新たなビジネスチャンスを提供している。6月末から済州と上海を結ぶ定期便を運航しているジンエアーは、7月の搭乗率が40%にとどまったが、8月からは80%半ばに急上昇した。同社は西安、ハルビン、長沙など、中国各地への非定期便も運航し、中国人観光客を済州島に輸送している。
旅行業界は、10月1日から7日間の中国国慶節の連休が始まれば、済州を訪れる中国人観光客はさらに増加するものと見込んでいる。中国旅行学会によると、9月の中秋節と10月の国慶節の連休に海外旅行を計画している中国人は計220万人で、このうち70%以上は、国慶節の連休を利用するといわれている。
こうした大型連休を控え、関連業界も大慌てで準備に乗り出している。新世界デパートは国慶節の連休に300万ウォン(約20万7000円)以上購入した中国人観光客に対し、中国主要都市への往復航空券を贈呈する。新羅免税店は、中国人が好む高級時計博覧会を開催し、中国の銀聯カードで5000ドル(約38万5000円)以上購入した顧客には、20万ウォン(約1万3800円)相当のギフトカードをプレゼントするキャンペーンを実施する。