中堅企業の代表の嫁が、韓国人の立ち入りが禁止されている外国人専用カジノに出入りし、常習的に賭博を行って数億ウォン台(1億ウォン=約645万円)の借金を抱え、賭博のための資金を融資してもらった男から脅されて、警察に届け出ていたことが分かった。
ソウル瑞草警察署は「金を返さなかったら賭博を行った事実を暴露する」として、鉄鋼関連会社D社の代表の嫁Nさん(41)を脅迫した容疑で、W容疑者(37)を先月末に逮捕した、と25日発表した。
警察によると、Nさんは2009年末、ソウル市広津区の特級ホテルにあるフィットネスセンターで、知人の紹介でW容疑者と知り合った。W容疑者はNさんに「このホテルのカジノは外国人専用だが、入場証を買うことができる」と持ち掛け、外国人名義で発行された入場証「ゴールドカード」をNさんに渡した。Nさんはこれを持ってカジノに出入りするようになった。
Nさんは昨年3月から6月まで数回にわたり、W容疑者から賭博のための資金として4億ウォン(約2600万円)を借り、常習的に賭博を行ったが、負けた額は数億ウォンに達した。それから間もなく、W容疑者による借金の取り立てが始まった。Nさんは賭博を行った事実を家族に打ち明け、夫が3億ウォン(約1900万円)を返済し、債権・債務関係を帳消しにしようとした。
ところがW容疑者は、1年後の今年6月に再びNさんと接触し「1億ウォン程度残っている借金も全部返せ」と要求した。
W容疑者は先月23日、ソウル市江東区岩寺洞にあるNさん宅を訪れ、11時間にわたって玄関のチャイムを押し続けたり、大声を張り上げたりした。「賭博を行った事実を警察に通報し、(企業を経営する)夫の家が税務調査を受けるようにしてやる」と脅したり、「娘の顔も覚えた」といったメッセージを携帯電話に送り付けたりし、また駐車場に止めてあったNさん所有の高級外車のタイヤの空気を抜いた。
警察の関係者は「Nさんは賭博を行っていた事実が知られるのではないかと恐れ悩んだが、結局W容疑者を告訴し、これを受け警察が捜査に着手した。W容疑者は意図的にNさんに接近し、賭博に誘ったものとみられる」と話した。なお、警察はW容疑者に対し、住居侵入や恐喝未遂などの容疑を適用した、と説明した。
一方、警察は、Nさんが外国人専用カジノに違法な手段で出入りし、数億ウォン台の賭博を行った件については「被害者という点を考慮し、立件しなかった」と話した。
またW容疑者がNさんに渡したカジノの入場証を入手した経緯については、特に調べを進めることもなく捜査を終結させた。W容疑者は警察の調べに対し「中国朝鮮族の人物に発行された入場証を購入し、Nさんがカジノに出入りできるようにした」と供述したという。
カジノの関係者は「W容疑者がいかにして入場証を入手したのか全く分からない」と話している。