今年春はロマンチック・コメディー物が多数放送された。 KBS『童顔美女』『ロマンスタウン』、MBC『最高の愛~恋はドゥグンドゥグン~』、SBS『私に嘘をついてみて』などであった。さらに、今年初めにはKBS『マイダス』、MBC『ロイヤルファミリー』、SBS『私の期限は49日』など重みのある作風のドラマが集中した。
このように、テレビ局にはシーズンごとによく似たジャンルのドラマを放送する「暗黙の了解」がある。同じパターンのものがいくつも続くことから、業界では「たい焼き番組編成」と呼ばれている。1-2月は10-20代向けのドラマ、3-4月はシリアス路線、5-6月はロマンチック・コメディー、7-8月はホラーやアクション、9-10月は本格的なラブストーリー、11-12月は大型企画ドラマを放送するのが一般化した。
テレビ局関係者は「暗黙の了解のようだが、実は分析を尽くした上での番組編成」と話す。KBSのコ・ヨンタク・ドラマ局長は「視聴者の生活リズムや視聴パターンを考慮した番組編成。ほとんどの人が同じことを考えるため、結果的にどのテレビ局も似たようなジャンルのドラマを同時期に放送するのだろう」と説明する。
関係者によると、1-2月は学校の冬休み期間なので、10-20代が好きなジャンルのドラマが多いそうだ。今年初めにKBSが『ドリームハイ』、SBSが『パラダイス牧場』などアイドル出演ドラマを放送したのも、こうした理由からだという。来年1月には『ドリームハイ シーズン2』が放送される予定だ。
蒸し暑い夏の盛りには見るだけでもヒヤリとするホラーやアクション物、センチメンタルな秋にはラブストーリーがピッタリだ。現在放送中の時代劇『武士ペク・ドンス』や『階伯』も「大きく見ればアクション物に入る」とテレビ局では話している。9月にはキム・スヒョン脚本、スエ主演の正統派ラブストーリー『1000日の約束』(SBS)がスタートする。
関係者が最も注目する季節は冬だ。寒くなれば夜に外出する回数が減り、テレビ依存度が高くなるためだ。そこでテレビ局では、大型企画として取り組む大作ドラマを冬に集中して放送してきた。SBSのパク・チョン・ドラマセンター長は「1年を締めくくるのにふさわしいドラマ、年末の授賞式のノミネート作として記憶に残りやすいドラマになるよう、この時期には期待の大作が主に放送される」と語った。『IRIS‐アイリス‐』『アテナ:戦争の女神』『ジャイアント』『逃亡者 PLAN B』なども冬ドラマだ。
よく似たジャンルのドラマが同じ時期に放送されると、「視聴率の食い合い」になるのではと思うのだが、そうではないという。MBC関係者は「対外的には『大作同士のぶつかり合い』『ロマンチック・コメディー対決』などとPRしやすい。『どれを見ようか』と視聴者が悩めば、どちらも視聴率アップという相乗効果がある」と説明する。経済用語で言えば「集積効果」(例えば「家具製造団地・店舗」など、類似業種の販売店が一地域に集中していると、相乗効果で売上高が増えること)はドラマにもいえるということだ。