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藤沢周平著 「白き瓶・小説 長塚節」

2022年02月22日 17時04分22秒 | 読書記

図書館から借りていた、藤沢周平著 「白き瓶・小説 長塚節」(文藝春秋)を、やっとやっと読み終えた。藤沢周平氏の作品と言えば、武家物、市井物、芸道物が中心だが、本作品は、明治時代から大正時代初期に掛けて、旅と短歌創作に生涯を捧げ、妻子を持つこともなく、37歳の若さで逝った、歌人、小説家の長塚節を描いた作品である。厖大な文献、資料を綿密に検証、丹念にしかも怖るべき執拗な態度で、長塚節について知りたいことを全てを取り込み、詳密を極めた作品で、昭和61年(1986年)の第20回吉川英治文学賞を受賞している。書簡その他で見られるささいなエピソード等も抜かり無く網羅し、長塚節の生活像を鮮明なものにしているが、その正しさ、細かさが余って、小説としての面白さには、問題が有る位に感じてしまう作品で、しかも超長編、なかなか読破するのがしんどい作品だった。
巻末の「解説」で、清水房雄氏が、「小説は、何よりも面白さが第一とされるが、面白さにもいろいろ有り、この「白き瓶」は、「骨の折れる面白さ」である」と記述しており、まさしくその通りだと思った。

長塚節(ながつかたかし)

明治12年(1879年)4月3日に、父源次郎、母たかの長男として、
茨城県岡田郡国生村(現常総市国生)で生まれた、歌人、小説家。

(常総市ホームページから拝借)

参考 → 「長塚節について」(常総市ホームページ)

「白き瓶(しろきかめ)・小説 長塚節」

目次

「根岸庵」、「初秋の歌」、「亀裂」「暗い輝き」「婚約」「女人幻影」「ほろびの光」「歌人の死」

主な登場人物

長塚節(主人公)、長塚源次郎(節の父)、長塚たか(節の母)、順次郎(節の次弟)、整四郎(節の三弟)、嘉七(農夫)、おしづ(嘉七の娘)、正岡子規、伊藤左千夫、森田義郎、斎藤茂吉、島木赤彦、岡麓、蕨真、古泉千樫、高浜虚子、夏目漱石、田山花袋、島村抱月、相馬御風、徳田秋声、幸徳秋水、平福百穂、松山貫道、黒田昌恵、黒田てる子、久保猪之吉博士、久保夫人、等々、

  白埴の瓶こそよけれ霧ながら朝はつめたき水くみにけり

大正4年3月1日発行の「アララギ」3月号で、「大正4年2月8日午前10時、長塚節氏逝く。謹みて哀悼の意を表す。アララギ同人」の弔事が掲載された。編集発行責任者の島木赤彦は、「長塚さんは逝かれました。37歳の短生涯に妻子も無くして逝かれました。人間の世の中に清痩鶴の如く住んで、孤り長く逝かれました」と記述、慟哭を捧げたが、彼は、節との長い交際による想いの他に、悲恋に終わった節と黒田てる子のことが去来したからに違いないと作者は、記述している。「白き瓶・小説 長塚節」は、「この歌人は、みずから好んでうたった白埴(しらはに)の瓶(かめ)に似ていたかも知れないのである」で終わっている。


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