自己と他者 

自己理解、そして他者理解のために
哲学・ビジネス・雑記・洒落物など等

村上春樹『騎士団長殺し 第一部顕れるイデア編』

2019-05-12 20:38:48 | 小説
著者名 : 村上 春樹
書籍名 : 騎士団長殺し 第一部 上 顕れるイデア編 
出版社 : 新潮文庫
発刊日 : 2019年3月1日
価 格  :550円プラス税 p333
ジャンル : サスペンス小説
読 日  : 2019年5月(5月4日のゴールデンウィークの石川県金沢小旅行中から。)
あらすじ :ネタバレ
帯の通り、作家デビュー40周年。
主人公は、理由がはっきりしないまま妻に別れを告げられる。
「もうあなたとは一緒にいられない」と。それからホテル暮らしなどをしてから、友人の雨田、その父の家に住む。主人公は画家だ。肖像画を描いてからそこそこの評価を得、エージェントから仕事を引き受け、評価も徐々に上がってきたところだったが、自分の絵を描きたいと、商売としての画を描くことをやめる。そんな時に絵を描くにはいい場所だと薦めてくれたのが現在の家、雨田父のアトリエだった場所である。
騎士団長殺しとは、本書の主人公の友人の父、雨田氏(主人公はその友人の父が住んでいた家に住むことになる)が描いた絵画の作品名である。
この雨田は、ウィーンに行ったことを境に洋画から日本画へと作品の色を変える。その理由は明らかにされない。その雨田の作品、騎士団長殺しをたまたま住んでいる家の屋根裏部屋で発見する。
そして、感嘆するほど、その絵を眺める、素晴らしいと。
肖像画=商売で描くのをやめたが、自分の絵は描けなかった。絵掛けのマスク前に座るもなかなか筆が動かない。そんな時、驚くべき報酬で肖像画を描いてほしいという謎多き金持ち男性、免色さんが現れる。
感 想 :妻から分かれを持ち出されたのに、ずいぶん身の引きが良すぎ?そんな時に頼りになる、居場所をくれるいい友人が居る。屋根裏でたまたま発見した絵はまだ謎めいている。免色(髪の色が真っ白)さんが怖い。ジョニーウォーカーさんめいている。何となく主人公にとっては悪いことに関係してきそう。イデアというのはちっとも関連しない(すくなくとも本巻では)。春樹作品では、きれい系イメージの女性(人妻)とHなことをする主人公が多い気がする。なんだが、正体不明なソワソワした危険というか恐怖というか、そういった感じを育てる描写が巧み。鈴の音とか、それこそ免色さんとか、なんか気味悪い感じがする。こういった感覚を狙っているのが巧み。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。