自己と他者 

自己理解、そして他者理解のために
哲学・ビジネス・雑記・洒落物など等

マックスウェーバーとアダムスミス

2006-09-29 11:29:24 | 歴史・思想・哲学

マックスウェーバーの正統的支配形態

①伝統的支配形態

②カリスマ的支配形態

③合法的支配形態

 近代における合法的な支配形態は官僚制の形態をとる。国家統治だけでなく、企業も同じ(結果として今の企業形態となった)。

 官僚=価値中立的、職権、専門性、一定の階層存在、没主観的義務観念

しかし、そうであるがゆえにそこには既に問題が内包されている。

 官僚主義問題である。・・・形式主義、非能率的、非人間的、前例主義、本来人格とは無縁のはずが、人間関係ネットワークを築いている。(国分良成『現代中国の政治と官僚制』(慶應大学出版会))

 近代経済学(古典派経済学)の祖、アダム・スミスによれば、「自由競争であれば、資源の最適配分(パレート最適)が達成される」が、個が集まった段階(組織・企業ができた段階)で、上記の考え方による説明では、企業の存在正当性が説明できなくなってしまう。

 市場対国家(政府)、私対公、自由対規制、効率対公正という2者の対立軸では物事の本質は見えてこない。

 制度経済学が台頭している理由でもある。その対象として、法だけでなく、習慣や恒例が含まれているからである。

 個に引き戻して考えてみると、個としてのスキルの高い職業、士(弁護士、公認会計士、税理士)の人々は、組織を嫌い、個人として働く人が多い。なぜなら、自分が他人によって煩わされるのを嫌うからだろう。上司や部下というヒエラルキーが組織に入れば必ず存在するから。

 一方で、企業、特に大企業でヒエラルキーの上層に入り込んでいくためには、個人的スキルとは別に、他人(上か横か下か)の関係調整(スキルと見るならばスキルか・・・)が絶対的に重要となる。いわば政治的駆け引き。

 きっとこれをスキルと捉える事のできない人は、個で生きようと独立するのだろう。

 組織の難しさを理論的に説明を試みたのが、例えばポール・ミルグロム、ジョン・ロバーツ『組織の経済学』、歴史的視点で組織と社会を考察したダグラス・ノース『文明史の経済学』、ウィリアムソンの「エコノミック・オーガニゼーション』などである。

彼らが制度派と呼ばれる経済学者である。


上海市 書記長陳良宇氏 解任

2006-09-27 15:08:00 | 日記・エッセイ・コラム・メモ

 9月26日に上海市の共産党TOP、陳良宇氏が、上海市の社会保障基金に絡む汚職事件に関与した疑いがあるとして解雇された。

 江沢民系、上海閥の一人。胡総書記は、さらなる基盤固めと党幹部の汚職に対する厳しい態度の表明と見られる。

 中国では、党内権力闘争が半端ではないために、まずTOPに就任しなければ何もできない。そしてその地位を維持しなければならない。これは49年に毛沢東が中心となり中華人民共和国が成立してから何ら変わっていない。

 特に60年代半ばの文革期から周恩来・鄧小平VS四人組など権力闘争は、より激しくなった。

 地方幹部の腐敗は中央人民政府が管理しきれないほどである。これも毛沢東時代に第一五ヵ年計画の後、ソ連をモデルに重工業育成に偏重し、現実と合わなくなってきた(計画経済の官僚主義、中央集権という弊害もあった)ため、バランスを重視した「十大関係論・・・例えば農業-工業、中央-地方といった関係のバランス成長」を唱え、後にも三線建設を掲げ、国防上の理由から内陸発展、地方分権推進をはじめてから際立った。

 さらに60年代、アメリカのベトナム介入、ダライ・ラマインド亡命による中印緊張、中ソ関係の悪化、原爆実験の成功などの国防上の理由から拠点の沿岸部から内陸へと分権が進められた。

 そのために内陸部にも都市が出現し始めるが、地方幹部がウソの報告を中央にし始め、地方共産党幹部が横領をしたりと汚職事件も中国成立初期から問題となっている。

 この問題は、市場 対 政府(国家)、官僚主義の弊害、中央と地方、縁故資本主義の弊害など突き詰めて考えねばならない問題である。

 経済成長という実績がなくなり、農民自身が経済成長の恩恵がない(あるいは悪化した)と感じ始めると、社会主義市場経済という矛盾が一挙に表面化し、民主化の嵐が天安門事件以来、再び吹き起こる可能性さえありうる。 

 ドラッカーは「人を管理することなんてできません、リードすることならできる。」といったが、13億人をリードするというのは、気の毒な話でもある。しかし、現状では胡錦涛総書記、温家宝総理のイニシアティブがキーになる。

 所有権を明確化し、公共財と私財を規定し、税制を確立し、徴税を厳格に綿密に効率的に行う。

 おそらく徴税の議論が活発化すると、徴税原則の一つである効率性、徴税コストの観点から連邦制を議論するしかない状態となるだろう。

 そうなると共産党の威厳、市場と国家の関係、私と公を改めて再構築を迫られる。このプロセスは今までどおり斬新的に行うしかないだろうが、早く着手しなければ手をくれになる。

汚職・腐敗・企業と党と官の癒着はそれほど根深い。

 


キングスレイ・ウォード『ビジネスマン、生涯の過ごし方』

2006-09-26 15:16:39 | 小説以外 

キングスレイ・ウォード『ビジネスマン、生涯のすごし方』(新潮文庫)

を読んだ。

印象に残った点

第10章 生活のルール

第一原則 物事を積極的に考えること。

第二原則 目標を定めること
望む目標をはっきりさせること。綿密に目標を立て、厳格に達成計画を実行する。

第三原則 粘ること。真の成功者が成功するのは、失敗した後、粘りと勇気を持って再び立ち上がったからである。

第四原則 誠実であること。どの方向に進路をとろうと一番大切な特質は誠実であることである。曇りのない良心をお金で買うことはできない。

第五原則 自分のチームを育てること。リーダーの力量は、育てたチームの力量で測られる事をお忘れなく。

第六原則 決断を速やかにすること。メモ用紙の真ん中に線を引き、一方に利点を、もう一方には不利点を列挙する。それぞれの要因の重要性を考え一点から十点の範囲で評価する。

第七原則 生涯学び続けること。

第八原則 健康に気をつけること。

第九原則 家庭を疎かにしないこと。

第十原則 自信をもつこと。

最近だが、やはり何かを達成した人は、規律(習慣化)を守っていることが分かった。

習慣化、変わろうと思ったら、習慣化が重要。


映画『21グラム』

2006-09-24 23:36:45 | 映画

映画 『21グラム』を観た。主演はショーン・ペン。

 3組の夫婦・家族が悲劇を通して交錯する。大病を患い余命一月とされるショーン・ペンとその奥さん、幸せに日々を暮らす2人の幼い子(姉妹)のいる4人家族、そして刑務所を出たり入ったりを繰り返すが、2年前から信仰に目覚める父とその嫁と二人の子(兄妹)の4人家族。

 

 悲劇は、信仰に目覚め、改心したのにも関らず、仕事帰りにひき逃げしてしまうことから始まり、そのひき逃げされた家族が・・・で、その旦那の心臓移植を受けたのが・・・。

 

 人はどんな奴でも、死後の体重が21グラム減っているという。その21グラムはいったい何なのだろうか。

Photo 左から、ショーンペン、ナオミ・ワッツ、ベネチオ・デル・トロ

 

オフィシャル・サイト 『21gram』

きっと、21グラムは生きた証。もしあるならば、天国でも地獄でも、通るのに必要な、歩んだ人生の思い出、証拠、別世界への通行証。それは唯一、死後にあの世に持っていけるもの。


首相になると見えなくなるもの 3つ

2006-09-22 11:01:53 | 日記・エッセイ・コラム・メモ

二・二六事件という難から逃れた岡田啓介当時首相が述べたとされる。

1.「金」・・・権力によって不自由をしなくなるから。

2.「人間」・・・とり入ってくるものに囲まれ、真の人材が見えなくなる。

3.最後に「国民」が見えなくなる

-------------------                 朝日2006年9月21日『天声人語』より

 もしこれが真ならば、そうなった時点で政治家を辞すべき。これは、政治家なら、どんな政策にもその裏に国民の思いが反映されていなければ、やめるべきだし、企業経営者なら、顧客を忘れてしまった時点で辞すべきだし、教育者は生徒をないがしろにした授業・講義をした時点で辞すべきだと思う。これは首相に限らず、一定の権力を有する立場なら同じことだと思う。

 最初の3つから逃れるためには、政治家の場合に限っていえば、自己の信念(正当化された真なる信念)を確立してから政治家を志すということしかないと思う。

 そうすれば、1は国民の幸福を考え、実行するための一つの材料でしかないし、2は評価軸・価値観・信念が確立されていれば、間違いはほぼないだろうし、3は当初設定した目的が国民とずれていなければ、それを実行することそのものが国民福祉の向上につながる。


ペット(犬・猫) 処分(抹殺) 年間36万匹

2006-09-21 01:24:41 | 日記・エッセイ・コラム・メモ

知ってましたでしょうか?17日の新聞、20日の夕方のニュースで取り上げられていたのをたまたま見たのです。ぶったまげました。

ペット処分に手数料を取る自治体が増えているというのがニュースの要旨ですが。

2005年で、犬は15万7900匹

        猫は22万6400匹

の引き取りおよび捕獲数。中には、新たに犬・猫にとっては運がよく飼手が見つかる場合もあるそう。

犬の「ワン、ワン、クーン」という叫び、猫の「ニャー、ニャー」という叫びが聞こえてきこうです。TVのニュースはかなりリアルでした。子猫も子犬もいます。まだ、眼もまともに開いていない状態の子猫もいました。

ニュースで放映されていた処分方法は、二酸化炭素を使った中毒死です。安楽死ではないです。15~20分間もがき、そして苦しみながら死に至ります。

処分するにはアンケートに記入が必要らしく、中には処分理由にただ「要らないから」という記入も・・・。

生殺与奪は人間が握っているのです。

一方で、「ペットは、家族。物として扱うなんておかしい」といっている人もいるのです。でも36万匹も人間の手で抹殺されているんじゃ・・・。

またまた一方で、アザラシのたまちゃんだったか、新しい~ちゃんだかなんだかよく分かりませんが、本来自然界、大海に要るべきはずのアザラシに感極まって喜んでか、悲しんでか涙を流している人もいる。

この状況、不気味だとは思いませんか。

一度犬・猫を手にして飼う事を決めたら、

①子供を生みすぎちゃったからとか、

②引っ越すからとか、

③成長してうるさくなったからとか

自分の意思決定で飼うと決めたはずの犬or猫を税金によって他人に殺させるのはやめましょう。36万匹の叫び声、悲鳴を聞きましょう。

手に余ってしまったら、自分の手で葬ってあげましょう。それができないなら責任もって最後まで面倒見ましょう。本当にこういうことすら分からない人たち、できない人たち「甘えすぎ!!」


ロボットからサイボーグへ

2006-09-18 00:05:33 | 日記・エッセイ・コラム・メモ

ロボットが一般家庭に普及するにはまだ相当の年月を要するようだ。

何しろ、ガタガタで走ってる段階で、大うけのレベル。一方で、2008年にも実用化されるとみられるのが、サイボーグだ。

TBSの「情熱大陸」や立花隆氏がファシリテーターを勤めていたNHKの番組で、サイボーグが取り上げられ、NHKでは近未来を舞台にしたアニメ『攻殻機動隊』が取り上げられていたが、キーはやはり、まだ未開の部分が多い脳である。

立花隆氏 と 押井守氏が対談していたが、押井氏いわく、すでに「人間の住む都市自体がサイボーグ化している」と述べていたのは印象に残っている。

サイボーグは人間を包むモビルスーツのようなもの。脳から発せられる微弱の電気を利用して、人間の持っている力をコンピューターの力で何倍にもする。例えばそれは、きつい、危険な労働作業から解放されることを意味する。

さらに、生まれつき脚が悪い人でも、電気信号自体が脳から発せられていれば、スーツを装着させることで、走ることさえ可能になるかもしれない。

30年後には押井氏が描いてみせた『攻殻機動隊』に近い世の中になっているのだろうか。

  • 第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。(A robot may not harm a human being, or, through inaction, allow a human being to come to harm.)
  • 第二条 ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。(A robot must obey the orders given to it by the human beings, except where such orders would conflict with the First Law.)
  • 第三条 ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。(A robot must protect its own existence, as long as such protection does not conflict the First or Second Law.)
(日本語訳は アイザック・アシモフ 小尾芙佐訳 昭和58年「われはロボット」早川書房 P5 より引用)

立花隆 メディアソシオポリティクス

     記事のNHK番組について


9月9、10日 御前崎市(旧浜岡町)へ

2006-09-14 00:13:30 | 日記・エッセイ・コラム・メモ

 大学の友人に誘われ、原発震災の危険性とともに徐々にその存在も知られるようになってきた御前崎市(旧浜岡町)の浜岡原子力発電所に行き、関係各所を見学した。

中部電力浜岡原子力発電所はこちら

 最初に断っておきますが、私は、原発に対しては、その必要性を完全否定する立場ではありませんが、まだ人間の扱うようなものではないという認識を持っています。

 その私からみても、明らかにクレイジーな存在なのが、富士山を有するあの静岡県にある、御前崎市(旧浜岡町)中部電力浜岡原子力発電所です。

 何が危険で、クレイジーか?それは、その浜岡原発が「東海地震」が起こると想定されている場所にあり、しかもちょうどその震源地の真上に位置しているからです。

 浜岡原発には、全部で5機あるのですが、現在は、4号機のみ稼動中で、あとは停止中、定期点検中、または事故を起こして調査中。5号機は2005年に運転を開始し、今年の第一回定期検査の約二ヵ月後にタービン事故が起きています。【検査後に事故???】が起きて、停止。建設を担当した日立製作所に損害賠償請求を検討中の状況。

 中部電力は耐震補強を施しているから問題ないとしているが、残り1機も私は廃炉にすべきだと思います。

 こういった3K(扱うのに危険、汚い、きつい)の典型的なものは、どうしても日本の片隅に置かれることになってしまう。なぜなら、人や企業、資金の流れが地方に行けばいくほど悪いからである。しかし、原発があるところ、もれなく自治体財政の状況が悪くない。これは、国からの交付金が原発の存在によって多くなるからです。地域経済を歪める要因にもなっている。しかも国の財政状況はご存知の通り、理論上は破綻しています。

 私は東京・大阪などの大都市圏に原発を造れば良いとさえ思う。

 国、自治体、企業、ヤクザ、学者、マスコミなどあらゆる主体を使って地震震源地の真上に位置する浜岡原発の稼動を維持しようと躍起になっているように感じますが、「安全」と位置づけている時点で、既に破綻している論理です。

 まずは「危険」ということを認めるべきであり、そしてそれを認めたなら、少なくとも浜岡原発に関しては代替エネルギーをフルに使用することで補い、クリーンエネルギーのイノベーションに挑み、推進していくべきです。

 ちなみに、四季報の中部電力(9502)を見ると、「~5号機停止で60%想定の原子力利用率が37%に低下。石油火力で代替、燃料費増え営業益大幅減額」とある。

 そして、展開に、「3箇所で風力発電所の開発を計画、新エネ推進」ともある。

 原子力は確かにエネルギー製造コストは安いが、実は、大規模な初期投資(発電所建設コスト)を必要とし、その後のランニングコスト・地元安全対策費にすさまじいコストがかかっている。そして、そのこと(交付金=ひも付き補助金)が地元首長の判断を狂わせてもいる。

 新エネ推進には大いに期待したい。そして、断層上に位置する浜岡原発、島根原発(事実関係調査中)に関しては少なくとも停止すべきである。

浜岡原発

F96ce84d_1 (Photo By 「SENZA FINE」より)

 

世界的な流れを把握するにはこちら(フォーリン・アフェアーズ・ジャパン 2006年6月号『世界で見直される原子力発電の現状と課題』)。

「原油コスト、中国・インドなどのエネルギー需要から原発が見直されつつあるが、一方で使用済み核燃料の安全な管理体制、経済性には疑問が残され、石油や天然ガスの価格が下がった場合には、生産性の比較優位を失う可能性もある」と指摘しています。


入社前研修

2006-09-03 21:39:38 | 日記・エッセイ・コラム・メモ

8月28、29、30日と入社予定の会社研修に参加。

第一日目・・・ビジネスマナー、自分がなぜこの会社を選んだのか、会社に選ばれたのかもう一度考えてみる。エゴグラム(交流分析)。学生と社会人の役割・立場の違いを認識する、などなど。

第二日目・・・会社作成の『行動指針』を読み、企業理念の理解。各項目ごとに社長が解説をしてくれる。なんと説明会時点で、この行動指針が机上に置いてあった。家に帰って読んだのだが、この指針そのものが入社希望理由の一つ。分からないことはその場その場で質問。終了後、懇親会。行動指針の内容はかなり濃いし、説得力がある。企業とは、働くとは・・・から、入社後の各キャリアの会社が求めるスキル、法令順守などなど。システム業界では、一人当たり1000万円の売上を稼げばまずまず。

第三日目・・・続いて会社の行動指針を読み込む。

こうした企業理念、『行動指針』が社員一人一人の共通認識となる。一年に一回は読んで欲しいとあったが、入社後2~3年後に読むとかなり違った感想を持つだろう。

2~3年後にこのブログを読み返してみよう。