自己と他者 

自己理解、そして他者理解のために
哲学・ビジネス・雑記・洒落物など等

藤原正彦『若き数学者のアメリカ』『遥かなるケンブリッジ』

2006-04-30 00:43:56 | 小説以外 

藤原正彦著『若き数学者のアメリカ』(新潮文庫)

同じく     『遥かなるケンブリッジ』(新潮文庫)

を読んだ。

この人は、数学者なので論理的思考はもちろんだが、

人間として重要な豊かなる情緒を持ち合わせている。

文章表現が豊かで、自分の感情にまっすぐな人だ。

日・米・英で暮らし、海外で大学生に教えながら、数学について研究し、

論文を書く。家族サービスも忘れない。

その中で異国の雰囲気に苦悩しながらも、その国の持つよいところを

きちんと掴み、自分のアイデンティティも失わない。

面白かった。


国際経済情勢 G7声明

2006-04-22 23:07:14 | 日記・エッセイ・コラム・メモ

朝日新聞2006年4月22日(土)夕刊(●の行が引用部分)からG7(主要7カ国財務相・中央銀行総裁会議)声明

世界的不均衡に関する声明について

●アメリカ⇒貯蓄増への対応を

 消費性向が高く、貯蓄性向が低すぎる。だけど、貯蓄をどう捉えるか。アメリカの人は、貯蓄の変わりに投資し、資産化して持つ傾向がある。住宅投資、401系などの証券投資。当然市場変動による元本割れリスクがあるから、そこに資金があつまり過ぎているということがリスクということなのだろう。

●EU⇒労働市場構造改革必要

 フランスでは暴動が起こるほどの考えられん労働政策を打ち出している。人のEU内移動自由化を進めて行くには憲法と同じように方法、手順を綿密に詰めなくてはうまくいかない。人間が生きていくための手段として最も主要な方法が働いて賃金を得ることだから。

●日本⇒財政再建必要

 説明不要。歳出を減らすか、歳入を増やすかだが、もはや歳出削減だけでは財政赤字を減少させるどころかプライマリー・バランス(歳出・歳入の均衡)を達成させることもできない。

●中国⇒為替市場改革必要

 アメリカのみでなく世界的視点でみた場合でも中国の世界市場における競争力は脅威なのだろう。しかし、中国国内で物資を製造しているのは、海外の企業(外資)だろう・・・。それで元が安すぎるから切り上げろというのもすごいというか、ひどい話だ。世界市場にとっては中国国内(沿岸部ー内陸部)格差、政治制度のほうがリスクだと思う。

●中東他産油国⇒供給能力増強を加速させる必要

 季節も移りつつあり、冬場の暖房需要が減少するはずだがインドや中国の石油需要は高まる一方で、しかも世界中の金持ち人間、企業の投資対象となっているために上昇中。果たしてエネルギー資源、特に世界の原油残量はどのくらいか。


梅田望夫『ウェブ進化論』

2006-04-13 23:44:05 | 小説以外 

梅田望夫『ウェブ進化論』(ちくま新書)

を読んでいる。

この本は良い。

どう良いか。現在のインターネットがどういう方向に進むのか。考える立場、興味ある人にはすごく良い。シリコンバレーで事業を起こし、住んでいる著者の実感レベルなので、ネット、ITの潮流が分かる立場にある。

中でも、グーグル社員の発言が載っていたが、Yahooのジェリー・ヤンも同じようなことを言っていたことを思い出した。

「世界中の知識を体系化したい。そしてそれを誰もが利用できるようにしたい。」

グーグルのミッション

「世界政府というものが、仮にあるとして、そこで開発しなければならないはずのシステムは全部グーグルで作ろう。それがグーグル開発陣に与えられているミッションなんだよ。」

・・・・石田衣良 著『アキハバラ@DEEP』の主人公たちが考えて創り出した人工知能式検索エンジンそのものだよね。グーグルから多数のヒントを得てるな~と思ったけど。あわせて読むとグーグルってすげーなということが分かる。

印象深いキーワード

●群集の叡知

●マス・コラボレーション

●オープンソース

バーチャル上の研究開発、事業創造トライアル

●Web2.0・・・世界を変える可能性を持った場。能動的個人同士が何かを発展させていくための空間。

『北朝鮮を知りすぎた医者』という本の著者が北朝鮮をネットを使った形で民主化を進めていくべきということをいっていたが、各国の国益を優先するがゆえに外向の場と化している国連に変わって世界政府なるものがいつどこからかネットに出現して大きく拡大していくというのもそれほど遠くない気がした。ここまでいっちゃうと誇大妄想狂なのかな・・・。


藤原正彦『国家の品格』

2006-04-13 01:39:20 | 小説以外 

藤原正彦『国家の品格』(新潮新書)

を読み終えた。新潮新書が創刊されて

から初めて買った同社の新書が、この藤原氏の

著書となった。

論理、市場主義、外国語、情緒、感性、国際人、武士道など

がキーワード。

同著者の

『遥かなるケンブリッジ』(新潮文庫)

『若き数学者のアメリカ』(新潮文庫)

が読まぬまま本棚に眠っていたが、

あれも読んでみようと、思わせる内容だった。

講演を基に再構成したようなので、

笑わせて会場を和ませるためか、極端な

表現もあったが、こうした表現も本が売れる要因と

なったのだろう。

論理が全てではないということを非常に論理的に

明快に説明している。読み進めていくうちに変わるものと変えてはいけない守っていくべきものが浮き彫りになっていく。

武士道の精神や、もののあわれといった感性、情緒を

養う視点をもっともっと大切にするべきと説いている。

小学校から公教育として英語を教えることがいかにばかげた

ことか、ではどういった人物が国際的に認められるのか、という

視点で、著者の経験(日本、アメリカ、イギリスで暮らした経験)や著者が学んだ書物などを挙げて説明している。

『若いときにはできる限り、感性を養うように文学など(主に古典)』に親しんだほうが、学校で週に数時間という中途半端な時間をかけて外国語を学ぶより、よっぽど意味深い』いうこと。

●日本は治安が良く、それは世界に誇れることであり、魅力的なところ。

●いずれ散り行く桜、夏の鈴虫の鳴き声、蛙が池を跳ねる音などに思わず感動してしまうのが日本人。

●法律は必要だが、個々人それぞれが礼儀作法を心がければ用いなくてはならない状況は減るだろう。

個人の集団により形成される国家という主体から個人そのものの主体に眼を移し、自分は品格ある人間か。感受性豊かな人間か。人の気持ちを察することができる人間か、自然の躍動に心奪われ、時に恐れ敬う人間か。

考えてしまう内容だ。


フランシス・ベーコン『ベーコン随想集』

2006-04-09 23:37:16 | 小説以外 

フランシス・ベーコン著 渡辺義雄訳

『ベーコン随想集』(岩波文庫)を読んでいる。

幅広いテーマを扱っていて示唆に富んでいる。

50.学問について

学問は「思考の」楽しみと「弁論の」飾り

と「仕事を処理する」能力のために役立つ。

~略~

 反論し、論破するために読むな。信じて丸呑みするためにも読むな。話題や論題を見つけるために読むな。しかし、熟考し、熟慮するために読むがよい。ある書物はちょっと味わってみるべきであり、他の書物は呑み込むべきであり、少しばかりの書物がよく噛んで消化すべきものである。

~略~

モンテーニュの『エセー』もあわせて読んでみるべきか。


舟越健之輔『われ広告の鬼とならん』②

2006-04-08 23:01:05 | 小説以外 

舟越健之輔『われ広告の鬼とならん』(ポプラ社)

を読み終えた。

●内容(とてもよく取材されていて濃厚です)

吉田秀雄氏の師であり、電通創業者光永星郎氏

の思いを引継ぎ、経営に科学的手法

(理由・分析・検討)を徹底して用い、広告の地位

を引き上げ、それとともに電通を世界企業に引き

上げていく話。

●知らなかったのは、広告事業の質を高め

るために市場調査を経営戦略の核に据え、

満州鉄道調査部の人間の多くを引き抜いたこと。

改めて電通の巨大さ、吉田秀雄という圧倒的な

存在感や先見性には驚く。

●深く心に刻まれる文

○P.237の「広告の鬼となれ」

○云わずと知れた電通『鬼十則』

○P.503の富士登山の経験を人生の心構えに

例えている部分。

●吉田秀雄氏の気迫が伝わってくる一冊。


『働く』とは

2006-04-05 21:39:16 | 日記・エッセイ・コラム・メモ

最近、考える機会が多いのが、この哲学的な問い。

「生きる」を「活きる」に変えるための手段。

これが今のところの『働く』とは、という

問いに対する答え。

では、「生きる」とは、というと・・・・

「自覚」を持って「選択」すること。

これが今のところの『生きる』とは、という

問いに対する答え。

10年後、20年後、30年後、40年後、50年後も

「活き活き」しながら、「自覚」を持って「選択」したい。


あるテレビ番組で

2006-04-05 11:15:05 | 日記・エッセイ・コラム・メモ

あるテレビ番組で、教育、医療、官僚の天下りの

問題をテーマに議論するというものがあった。

教育のテーマで、ヤンキー先生義家氏が、議論に

参加していて、

「(子供を)叱れないやつに、褒める資格はない」

ということを言っていて、印象に残る言葉だった。

後から思ったが、正しくはむしろ、

「(子供を)褒めれないやつに、叱る資格はない」

だと思った。言葉遊びだとも思ったが、印象が違って

くる。こっちの方がネガ、ポジのどちらかといえば

ポジだし。

それと、リクルート出身で、現在は校長を

している『よのなか科』で有名な藤原和博氏

がまじめな教師は6割と言い、後ろの席に

座っていた教師が8割と突っ込んでいたが、

藤原氏の校長としての実感レベルでは6割だったんだなと

感じた。4割はまじめに教師をやろうと思っている

訳ではないということで、結構恐ろしい。

大学では食い扶持に困らないように、という理由で

教職課程を受けている人が大半だしね。


石田衣良『IWGPⅣ 電子の星』

2006-04-03 18:40:37 | 小説

石田衣良『池袋ウエストゲートパークⅣ 電子の星』(文春文庫)

を読んだ。前作『IWGPⅢ 骨音』も面白かったのだが、こちらも面白かった。石田衣良はこのIWGPを含め、アキハバラ@DEEPなど今の時代の一部をうまく表現する内容の小説が多いね。

●コンテンツ

1.東口ラーメンライン

ラーメン屋を起業した元池袋ギャングの

兄弟からの依頼。

2.ワルツ・フォー・ベイビー

上野ギャングの元ボスの父親からの依頼。

3.黒いフードの夜

ある日真島家が営む果物屋にビルマ出身(現ミャンマー)の子供がやってきて話を聴き、放っとけず、マコト自身から行動。

4.電子の星

田舎から出てきた負け犬少年から

連絡取れず、行方不明の友達を探して欲しいと頼まれる。

など4つの物語で構成。

コアの登場人物は主人公の真島マコト、

それと最低限のコミュニケーションで

話が成立する仲間、

池袋ギャングの王様タカシ

やくざの中間管理職サル。


やっぱり人生で何が重要か?って

2006-04-02 00:36:38 | 日記・エッセイ・コラム・メモ

改めて思うけど、やっぱり重要なのは人だよね。

組織の盛衰においてもそれを形成する人によって決まるしね。

「人」・・・捉えがたい。でも理性、知性を持ち、

、単純には平和が良いと思っている。

一方で、武器をつくり、人を傷つけ、殺し、にも関わらず

安心、安らぎを求めて人を求める。

んーむ、やっぱり捉えどころがない。

矛盾しているね。ヘーゲルも言っているけど、矛盾が

あるからこそ、進歩している一面はあるけれど。

精神の進歩は別として。時代における精神の偉大さ

には高低はないしね(ってランケっていう人が言っていて自身も同感)。

HP、WEB、サイトで『ほぼ日』っていう糸井重里さんが

創って運営しているのがあるけれど、あれ見てたら、

やっぱり何らかの道で成果を積んでいる人が

いっぱい登場しているから人気あるんだろうね。

あのコンテンツはすごいね。

グッズも売れているみたいだし。

いまさらながら、人が人を呼ぶんだね。