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伝統工法と構造用合板

今回の工事では、構造用合板をまったく使用していません。
構造用合板は、費用対効果で考えた場合、優れた材料であるため多くの現場で使用されています。
しかし、この万能に思える構造用合板が伝統工法では逆効果になる可能性があるということを確認したとき、建築は面白いと思いました。
それに戦前に今のような構造用合板は存在していません。
新築当時の状態に戻すという考え方から判断しても構造用合板の使用が適切ではないのです。
写真は、床下地を撮影したものです。
構造用合板を使用することが多いのですが、杉板を使っています。
床が畳である場合は問題はないのですが、フローリングの場合は床下地は耐水合板と施工書に書いてあるため、かなり悩みました。今回は、耐震補強を目的としていますし、なるべく床下の湿気を抑える努力をしたのでフローリングの施工書を無視した床仕様となっています。
不具合が生じるかもしれませんが、お施主様に説明し、不具合が生じた場合はこちらで責任をもって対応するということにしたので、経過を慎重に見守ります。
ちなみにフローリングは、無垢でナラ材を使用。
縁側部分だけは、檜材です。(仕上がりがとても美しいです。)
今は、なんでも価格が高騰している状況ですが、無垢材関係は昔よりやすく仕入れることができるようになりました。伝統工法住宅の補強や修繕には良い時期なのかもしれません。(それでも一般的な材料に比べれたら高いですが)
正直、現在も試行錯誤で作業を行っています。
このような機会を与えて頂いたお施主様への感謝の気持ちでいっぱいです。
私は、もっともっと謙虚に学ぶ必要がありますし、自分で工夫する姿勢を持つ必要があります。
とても先人には及ばないと思い知らされますが、それでも先人の残したものを次の世代に残すということだけはできるようになりたいです。それだけの魅力が伝統工法住宅にはあるのですから。
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