政府は1日、新型コロナウイルス感染症対策本部会合を首相官邸で開き、緊急事態宣言に準じた対策を可能とする「まん延防止等重点措置」について、感染が急拡大している宮城、大阪、兵庫3府県に全国で初めて適用することを決めた。期間は5日から5月5日までの1カ月間。3府県の特定地域で感染拡大が見られ、医療提供体制の逼迫(ひっぱく)を懸念した。営業時間短縮要請に応じた事業者への協力金は事業規模に即した内容に変え、1日当たり中小企業最大10万円、大企業最大20万円とする。(3・7・8・9・11・16・27・28面に関連)

 政府の想定を超える速さで感染のリバウンド(再拡大)が進み、重点措置の適用を余儀なくされた。

 菅義偉首相は対策本部会合で重点措置の初適用に関し「大きな波にしないために感染を封じ込めていく」と強調。「感染対策に奇策はない。ワクチン接種が行き渡るまで飲食店対策、検査の拡大、医療体制の確保を粘り強く進め、感染拡大を食い止める」と述べた。

 会合後、官邸で記者団に重点措置について「緊急事態宣言に至ることを防ぐための措置だ」と説明。大阪府、兵庫県では感染力が高いとされる変異株が多くなっていると指摘した。重点措置の適用判断に関し「大阪が要請してから(政府の対応は)早かった。機動的に対応した」と語った。

 宮城県は仙台市、大阪府は大阪市、兵庫県は神戸市、尼崎市、西宮市、芦屋市の計6市が対象に指定される予定だ。6市には飲食店の営業時間を午後8時までに短縮するよう要請し、3府県のイベント入場上限も5千人とする。

 飲食店の時短に加え(1)変異株の監視強化(2)全ての飲食店の見回り、アクリル板などの対策チェック、マスク着用要請(3)高齢者施設で2週間に1回程度の検査働き掛け(4)コロナ用病床、軽症者用ホテルの最大限確保-の四つの対策を集中的に実施する。不要不急の外出や他の都道府県との往来自粛も求める。

(写図説明)主な都府県の感染状況を示す指標