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2月24日、軍事大国ロシアがウクライナに攻撃を仕掛けた時、台湾併合を目論む中国がロシアの攻撃を注目していると書いた。
軍事大国ロシアが数日の攻撃でウクライナを併合できたら、中国が見習って直ちに台湾を併合すると考えたからだ。
ところがロシア研究の専門家でさえ口を揃えて「想定外」という出来事が起きた。
軍事的弱小国のはずのウクライナが「自分の国は自分で守る」と想定外の抵抗を示した。
ロシアは首都キエフに接近しても首都陥落に追い込めず、プーチンの想定外の誤算があった。
一方、米国を筆頭にNTО諸国はウクライナがNTОに加盟していないのを根拠に軍事介入を拒否している。
しかし、「自分の国は自分で守る」と、気概を示すゼレレンスキーウクライナ大統領に対する心情的支援によりNTО諸国は一致団結し、ロシアに経済制裁を加える一方で武器・兵器の提供で間接的にウクライナを支援している。
特に永世中立国のスイスが経済制裁に加わったことや、ロシアの天然ガスにエネルギーを押さえられていたドイツの掌返しはプーチンの誤算であった。
日本にとってロシアのウクライナ侵攻は遠いヨーロッパの出来事である、という安易な見方から一変して「ウクライナは対岸の火事ではない」という論議が浮上した。
だが、軍事大国中国にとってロシアの誤算は想定外だった。
中国としては、迂闊にロシアに肩入れすると西側の猛批判を受けることになる。
西側に肩入れしても特に得るものはない上、ロシアから逆恨みされるしで、しばらくは静観しかないだろう。
「ウクライナは対岸の火事ではない」警戒高まる台湾有事…中国の思惑は 沖縄の置かれた状況を考える
ロシアのウクライナ侵攻で国際情勢が緊迫する中、台湾では中国の軍事的な圧力が強まらないか懸念が広がっている。アメリカが警戒を高める台湾有事と、沖縄が置かれている状況について考える。 【画像】3月2日、米軍元幹部が台湾を訪れ蔡英文総統と会談
ウクライナ侵攻により広がる台湾有事への懸念
2月24日から始まったロシアのウクライナ侵攻では、3月4日時点で2000人の犠牲者が出ていると報じられている。 国際社会の秩序を無視するかのような武力行使が続く中、台湾である懸念が広がっている。 台湾に住む日本人 上田功さん: 台湾でもニュースは連日、ウクライナの情勢をやっています。その論調は基本、アメリカはやはり軍事的にヘルプはしない、というもの。ウクライナだって国民も、キエフに攻めないって言っていた。それを一気にやってしまったからね、そういうことが(台湾でも)起こりえるという話 2021年3月、アメリカ議会におけるアメリカ軍司令官の発言が世界中に波紋を広げた。
フィリップ・デービッドソン 米インド太平洋軍司令官: 今後、6年以内に中国が台湾を侵攻する可能性がある 台湾を自国の領土と主張し、軍事的な圧力を強める中国。力により一方的に現状の変更を試みるロシアの姿を、台湾の人々は中国と重ねている。
国際政治に詳しい沖縄国際大学の野添文彬准教授は、中国の思惑を次のように解説する。
沖縄国際大学・野添文彬准教授: 台湾は自分たちの領土だったから統一したい、というのが1つ。2つ目は、台湾というのは中国からすると、太平洋に出ていくための重要な出口になる。それは軍事的にも大事だし、経済的にも大事ということです
もし台湾有事が起きたらアメリカは…
中国が台湾に侵攻する、いわゆる台湾有事が起きた際に注目されるのがアメリカの対応だ。
沖縄国際大学・野添文彬准教授: アメリカが台湾へ軍事介入するかといったら、すると思いますね。なぜかというと、台湾が地理的に重要な位置、第一列島線の大事な位置にあって、太平洋に中国が進出していく重要な場所になる。それから、もし台湾をアメリカが見捨てた場合、アメリカは簡単に同盟国を見捨てるんだというメッセージになってしまう。さらに加えると、台湾は経済的にもどんどん最先端の技術を作っている。そこが中国に取られると、やはりアメリカにとって非常にまずいですよね ウクライナへの軍事侵攻が始まってから5日後の3月2日、アメリカ軍の元幹部が台湾を訪れ 蔡英文総統と会談した。
蔡英文総統: 現在、中国軍は台湾海峡と領土への威嚇を強めています マレン元米軍統合参謀本部議長: 台湾海峡の平和と安定は、アメリカだけでなく世界の利益です。だからこそ、アメリカ政府は一方的な現状を変更する行為に反対し続け、台湾の人々の希望と最善の利益となる海峡問題の平和的解決を支持します
台湾に近い沖縄 米の軍事介入で自衛隊の拠点に
台湾有事が勃発してアメリカが台湾軍を支援すれば、基地が集中する沖縄への影響は避けられない。
沖縄国際大学 野添文彬准教授: 中国が明らかに台湾に大規模な攻撃を仕掛ける事になった場合には、在日米軍基地を含めた西太平洋の米軍を台湾に送り込んで反撃することになる。よく言われるのは、台湾有事になった時、中国は先島あたりを占領するのではないかとか、アメリカ軍の介入を阻止するために沖縄の米軍基地をミサイル攻撃するのではないかということ。沖縄は台湾に非常に近いので、台湾有事は沖縄にとって決して他人事ではない 2015年、集団的自衛権の行使を可能とする安全保障関連法案が成立。自衛隊とアメリカ軍の一体化が進む中、2022年1月に行われた外務・防衛閣僚会議2プラスで、日米は南西諸島の態勢を強化し施設の共同使用を増やすことで一致した。 台湾有事でアメリカが軍事介入に踏み切れば、自衛隊は与那国・宮古・石垣を拠点にアメリカ軍を後方支援する役割を担うことが予想される。
沖縄国際大学 野添文彬准教授: 台湾有事になった時には、沖縄や先島などが攻撃される可能性は当然あるということもそうですし、それを阻止するために沖縄を含む南西諸島に自衛隊を配備していったということがあると思います。日本政府の考えというのは、自衛隊などのいない空白的な地域は占領されやすいと。他方で、軍がいるからこそ敵に攻められるんだ、攻撃の標的になるんだという考え方は、沖縄戦などを経験した沖縄においては当然、出てくると思います 南西諸島が軍事拠点となり、再び住民が巻き込まれる事態になりかねない。2022年1月、沖縄戦の研究者らが新たな市民団体を発足させた。
沖縄女性史家 宮城晴美共同代表: 戦争体験をずっと聞いてきて「なぜあの時、戦争に反対しなかったの?」と疑問に思った人はたくさんいると思います。今私たちが声をあげなければ、次の世代から今度は私たちがそう言われる番が来るんじゃないかと
軍事力による抑止だけでない、外交努力の必要性
中国への対応を念頭にアメリカ軍は2月、宮古海峡で自衛隊との共同訓練を実施。那覇軍港でも、これまで行っていなかった大規模な訓練を展開した。 さらにアメリカ空軍の極東の要、嘉手納基地には2月下旬からF35戦闘機などが相次いで飛来。
嘉手納基地の住民: (騒音が)すごかったですよ、ここ2~3日前。ちょっと異常。今までとは違うなと思ったね 国際情勢の狭間で、基地の周辺で暮らす住民は負担を強いられている。戦争が平穏に暮らしていた多くの人々に火の粉を降らせ悲劇を生むことを、今回のウクライナ侵攻はまざまざと世界に突きつけている。 武力衝突という最悪の事態を避けるため、野添准教授は軍事力による抑止だけでなく、外交による努力が必要だと力説する。
沖縄国際大学 野添文彬准教授: 国際社会が一致してウクライナを支持している。ロシアを批判すると。中国もウクライナの様子を見て、台湾に攻め込むことは簡単ではないと考えているのではないかと個人的には思います。台湾に関しても、国際社会の連帯というのはとても大事だと思います (沖縄テレビ)
沖縄テレビ
【おまけ】
諜報トップ〝粛清〟ロシアで内部対立が勃発 「柔軟で俊敏」ウクライナ軍の想定外の強さに追い詰められるプーチン氏 経済制裁の打撃も
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、いら立っているのか。当初、ウクライナへの侵攻開始から2日後に「首都キエフ陥落」を想定していたようだが、20日近くたっても「祖国を守り抜く」というウォロディミル・ゼレンスキー大統領率いるウクライナ軍の士気が落ちないのだ。ウクライナ軍のドローン(無人機)や対戦車ミサイル、地対空ミサイルなどの攻撃で、ロシア軍に深刻な被害が出ており、プーチン氏が情報機関幹部を軟禁したとの報道もある。
欧米主導の経済制裁も効いており、識者は、ロシア国内で内部対立が勃発しかねないと分析する。
「ロシアは数千台の軍用車両、74機の軍用機、86機のヘリコプターを失った」 ゼレンスキー氏は13日午後、SNSに新たなビデオメッセージを投稿し、こう主張した。CNN(電子版)が同日報じた。ゼレンスキー氏は前日も「ロシア軍は1万2000人の損害を出している。(ウクライナとの損害率は)1対10だ」「ウクライナが100%勝つ」といい、祖国防衛戦を戦い抜く姿勢を示していた。 確かに、ロシア軍の苦戦は想定以上のようだ。
プーチン氏は当初、ロシア軍が短期間でウクライナの首都キエフを制圧し、ゼレンスキー政権転覆を狙っていたとされる。ロシアの国営メディア「RIAノーボスチ通信」が、侵攻開始から2日目の2月26日午前8時、ネット上に「キエフ陥落」を想定した予定原稿を誤配信し、直後に削除したことからも、プーチン氏の当初の計画がうかがえる。
海外メディアなどによると、戦力規模で劣るウクライナ軍は、トルコ製の偵察攻撃ドローン「バイラクタルTB2」や、米対戦車ミサイル「ジャベリン」、米携帯型地対空ミサイル「スティンガー」などを効果的に使用してロシア軍に対抗しているという。 バイラクタルTB2は、全長6・5メートル、全幅12メートル。ミサイルや誘導爆弾、ロケット弾で武装することができる。防衛システムを備えた正規軍相手には不向きとされたが、ロシア軍車両などを撃破する動画がツイッターで拡散しており、ウクライナ軍は成果を強調している。 ジャベリンは、全長1・1メートル、直径127ミリの歩兵携行式ミサイルで、射程は約2・5キロ。兵士が肩に担いで発射し、ミサイルは目標に向けて自動的に飛び、戦車の側面や装甲の比較的薄い上部を撃破する。 米国防総省高官は先週末、ロシア軍がウクライナ軍の「柔軟で俊敏」な抵抗に遭い苦戦しているとの見方を示した。ロシアの情報機関も激しい抵抗を予測できていなかったという。 こうしたなか、プーチン氏のいら立ちが伝わるニュースが流れた。
ロシアの独立系メディア「メドゥーザ」が14日までに、プーチン氏に侵攻前のウクライナ政治情勢を報告していた連邦保安局(FSB)の対外諜報部門トップらが自宅軟禁に置かれたと伝えたのだ。ウクライナ侵攻が計画通りに進まないことへの「懲罰」とみられる。 FSBは、プーチン氏の古巣である旧ソ連時代のKGB(国家保安委員会)の流れをくむ組織。外国の諜報活動を担う部門のトップ、セルゲイ・ベセダ氏らが、不確かな情報を報告した疑いが掛けられているという。 さらに、ロシア軍は13日、ウクライナ西部の要衝リビウの北西ヤボリウにある軍事基地「国際平和維持・安全保障センター」を、30発以上のミサイルで攻撃した。ウクライナ当局は、少なくとも35人が死亡し、134人が負傷したと明らかにした。 ポーランド国境まで約60キロと近いリビウは、ロシア軍の激しい攻撃を受けるウクライナ東部など各地から避難民が集まり、物資供給の拠点にもなってきた。これまで戦火が及んでいなかったが、プーチン氏が米欧諸国の軍事支援を牽制(けんせい)した可能性もある。 欧米諸国は、ロシアへの経済制裁に加え、プーチン氏の独裁的権力を支えてきた側近や新興財閥「オリガルヒ」ら富豪への制裁を強めている。 ジャネット・イエレン米財務長官は11日、「エリートたちへの制裁でロシア経済をさらに孤立させる」と強調した。オリガルヒの中には、欧米の資産凍結を恐れて、プーチン氏と距離を置く動きも見られる。
■追い詰められるプーチン氏
ロシア軍は、キエフを包囲しつつあるが、今後どうなりそうか。 国際政治に詳しい福井県立大学の島田洋一教授は「プーチン氏が情報機関幹部を軟禁したのは、ウクライナ侵攻がうまくいかないことへの不満の意思表示だろう。ロシア国内では、欧米の制裁による国民の不安が増大し、オリガルヒの離反も招いている」といい、続けた。 「かつてCIA(米中央情報局)高官は、プーチン氏を『猜疑(さいぎ)心の塊だ』と指摘した。側近や周囲の人間に不信感を募らせている可能性がある。プーチン政権の『内部対立』の入口に来ているのではないか。ロシア軍の犠牲や損害が増えるにつれ、国民の『反プーチン』の動きも大きくなる。経済制裁による不満などで、治安維持も収拾がつかなくなるとも予想され、プーチン氏も追い詰められていくことになる」
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