▼全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)。今は治療法がない。症状が進む中、一度は人工呼吸器を着けず死を選ぶと決めた

▼「後輩」患者に体験を語り、感謝されたことが生きる力となる。〈自死望む友に「死ぬな」と動かない足で必死にメール打つ夜〉。機能する筋肉でパソコンを操り、今は会社経営にも参画する

そして、活躍の場は参議院へ。れいわ新選組から比例代表で出馬し、当選を確実にした。自民党が党利党略で導入した優先当選の仕組み、特定枠を利用。れいわに入る全ての票が舩後さんを後押しする形になった

▼ALS患者の国会議員は世界的にも珍しいようだ。与野党の勢力図が大きく変動しなくても今回の参院選は歴史に残る。これから議席、採決、と全ての面で合理的配慮が必要になる。当事者が政策決定に直接関わる。「生産性」至上主義を揺さぶる。国会が変わり、日本社会も変われるか

▼舩後さんは21日の会見で「面倒かもしれません。でもよろしくお願いします」と述べた。著書「しあわせの王様」にはこんな歌もある。〈芋虫か寝返りさえも打てぬけど夢で青空舞う大揚羽(おおあげは)〉(阿部岳)

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ALS患者の国会議員は世界的にも珍しいようだ。与野党の勢力図が大きく変動しなくても今回の参院選は歴史に残る。これから議席、採決、と全ての面で合理的配慮が必要になる。当事者が政策決定に直接関わる。「生産性」至上主義を揺さぶる。

日本の民主主義は直接民主主義ではない。

代議制民主主義の我が国で、当事者を国会に送り込む必要はない。

高齢化社会で問題になる認知症問題を、当事者である認知症患者を国会に送り込む必要はないのと同じだ。

阿部記者は、お得意の差別論を展開するためこれ見よがしに「生産至上主義」と表現している。

だが介助や設備の費用を公費で負担する場合は、一定の基準を満たす必要がある。

その合理性の基準は費用対効果である。