自民党岸田派の林芳正元文部科学相(60)=参院山口選挙区=は11日、山口県宇部市で開かれた後援会会合で、次期衆院選山口3区にくら替え出馬する意向を明言した。出席者が明らかにした。3区には、自民現職で二階派の河村建夫元官房長官(78)も出馬する方針で、派閥間の対立を含んだ保守分裂選挙となる公算が大きい。

 会合に先立ち、林氏は河村氏の地盤である同県萩市の後援会事務所開設式であいさつし「近いうちに正式な場でしっかりと思うところを述べたい」と言及した。「先の見えにくい時代に、この国のかじ取りをしなければならない」とも強調した。

(写図説明)後援会事務所の開設式であいさつする林芳正元文科相=11日午前、山口県萩市

 

二階氏「売られたけんか、受けて立つ」 岸田派・林氏のくら替え出馬をけん制 (1/2ページ)

 「『売られたけんか』という言葉がある。われわれは河村先生に何かあれば、政治行動の全てをなげうって、その挑戦を受けて立つ」「いかなる標的でも必ず、われわれが勝利すると約束する」

 二階氏がこう強調すると、会場に集まった約400人はどよめいた。

 会場には、伊吹文明元衆院議長や、武田良太総務相ら派閥幹部が勢ぞろいした。二階氏の最側近である林幹雄幹事長代理は「現職がいる選挙区への出馬は反党行為だ。罰則がある。除名も当然ある」と牽制(けんせい)した。

二階派が動いたのは、一部メディアが9月半ば、「林芳正氏が、山口3区から無所属でも出馬する意向を固めた」と報じたのがきっかけ。林芳正氏は否定したが、「地元で期待があり、しっかり精進したいと言い続けてきたのは変わらない」と含みを持たせたため、二階派を刺激した。

 林芳正氏は2012年衆院選でもくら替え出馬を模索したが、河村氏らの猛反発で踏みとどまった経緯がある。

 岸田派関係者は「二階派議員が山口にこんなに大勢で来たら、『戦争』になる」と警戒を強める。

 二階派と岸田派は所属議員の数でも拮抗(きっこう)し、しのぎを削っている。2012年衆院選では、山梨2区で党公認をめぐり対立した。現在、衆院静岡5区でも、旧民主党出身で二階派特別会員の細野豪志元環境相と、岸田派の吉川赳氏が競合している。

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