「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

御嶽山噴火災害、「避けられたはずの死」はどこかにあったのか

2014-10-03 23:40:14 | 災害
後期の金曜2限は「災害医療システム」なる科目。
災害時の医療救護活動を支える社会のあり方について考えよう、というのが全体テーマ。
受講生は3年ゼミの2名のみというさみしい科目であるが、
1年生の時から面倒を見てきた学生だけあるので、
刺激的な話も手加減なくぶつけられるのが楽しい。

災害医療の大きなテーマの一つが「避けられた死」。
より詳しくは「避けられたはずの外傷死(Preventable Trauma Death)」と呼ばれるもの。
で、最初の30分をこのテーマに費やす。

普賢岳の場合は火砕流という現象についての理解不足&甘さがあった。

有珠山は素直な火山で、ホームドクターの「診たて」もドンピシャで、
危なくなる前に避難を終えられた。

三宅島は受け入れに難があったが、それはそれで課題は明白。
たとえ実施が難しいとしても、少なくても何を目指すべきかは明らかであった。

では、今回の御嶽山噴火による犠牲者を減らすために何か出来たのか。

「登山者への情報提供等にスピード感を持って取り組む」と政治指導者が言う。
恥ずかしげもなく、よくそういうことを言えるなぁ、と。
聞けば聞くだけ腹立たしくなるのみ。

当方、防災・危機管理分野のプロの端くれのつもりなるも、後知恵一つ思い浮かばない。
ただ……。

自然の前では謙虚であろう、と。
大自然の裾野で、ちっぽけな人間が遊ばせてもらっているのだから、
その自然は時に荒れ狂うこともある訳だし、そうなれば人なんぞ無事では済まない。
そのことくらいは覚悟しておくように、ということ、なのだと思うが……。

でも、こういうことを言うようでは「プロではない」と扱われるのかもしれないね。
したり顔でわかったようなことを言うよりも誠実だ、と、当方は思っているのだが……。


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