教育カウンセラーの独り言

今起こっている日本の教育の諸問題と受験競争の低年齢化している実態を見据えます。

「植草一秀の『知られざる真実』」   消費税増税なのに社会保障制度崩壊の主因                第2506号

2019年12月16日 16時29分17秒 | 国際・政治

  消費税増税なのに社会保障制度崩壊の主因

2019年12月16日 15時23分49秒 | 政治より、転載させて頂きました。

 

           

                   「植草一秀の『知られざる真実』」
                             2019/12/16
             消費税増税なのに社会保障制度崩壊の主因
               第2506号
   ウェブで読む:https://foomii.com/00050/2019121612141561752──────────────────────────────────── 「新・三本の矢」という言葉を覚えているだろうか。
2015年9月に安保法制という名の戦争法制を強行制定した安倍内閣が、目 くらましのために提示した施策だ。
1.2020年ごろに名目GDPを600兆円にする
2.希望出生率1.8を2020年代初頭に実現する
3.2020年代中ごろに介護離職をゼロにする
これを安倍首相は「新・三本の矢」と名付けた。
いずれも政策「手段」ではなく政策「目標」だ。
したがって「三本の矢」の表現は失当で「三つの的」と表現すべきだ。
安倍内閣の国語力の低さを示している。
GDP600兆円はGDPの推計方法変更をも計算に入れたペテンの一種だっ た。
安倍内閣はその後、政府経済統計の改ざんにまで手を染めた。
それでも名目GDP600兆円実現は、はるかかなたに遠のいたままだ。
2018年に生まれた子どもの数(出生数)は91万8397人で過去最低を 更新した。
1人の女性が生涯に産む子どもの数にあたる合計特殊出生率は1.42と、2 017年から0.01ポイント下がった。
3年連続の低下だ。
2019年に生まれた子どもの数は1899年の統計開始以来、初めて90万 人を割れることが確実になり、最低記録の更新が続いている。

安倍首相は「介護離職ゼロ」を掲げたが、介護離職を促進する政策を実行して いる。
要介護1、2の生活援助サービスを保険給付の対象から外し、介護保険の利用 者負担を原則2割に引き上げることを検討している。
「介護離職ゼロ」とは「介護のために離職する人をゼロにする」ことを意味す るが安倍内閣の政策対応では介護離職がますます増加してしまう。
公的保険医療を利用する際の被保険者本人の窓口負担は1997年3月までは 1割だった。
ところが、消費税の税率が3%から5%に引き上げられた1997年4月に窓 口負担が1割から2割に引き上げられた。
さらに、消費税の税率が5%から8%に引き上げられた2014年4月に、被 保険者本人の窓口負担が2割から3割に引き上げられた。
社会保障制度を拡充するための消費税増税だと説明してきたのではないのか。
そうであるなら、消費税増税に伴い医療費の本人窓口負担を引き下げるのが当 然ではないのか。
ところが、現実には消費税増税とともに医療費本人負担引き上げが実行されて きたのだ。
本人負担引き上げも半端なものでない。
1割負担、2割負担などと表現しているところにペテン師内閣の素性が表れて いる。
本人負担は2倍増、3倍増にされてきたのだ。

「新・三本の矢」という言葉がまったく聞かれなくなったのは、この目標が まったく達成できていないからだ。
記者会見まで開き、大見栄を切って掲げた政策目標であるのに、実現できず、 都合が悪くなると、存在しなかったかのように隠蔽してしまう。
安倍首相は在任期間が長くなったということ以外に成果がない。
主権者からの尊敬を集めない程度では歴代随一の首相と言ってよいだろう。
いまの日本でもっとも深刻な問題は出生率の低下だ。
その理由が問題なのだ。
主権者の地位が下流に下流に流されて、結婚、出産という道が閉ざされている ことが問題なのだ。
いま何よりも必要な施策は、国家がすべての国民に保障する最低水準を大幅に 引き上げること。
格差拡大の推進でなく、すべての主権者に保障する最低水準の引き上げが求め られている。
1年を通じて働いているのに、年収が200万円に届かない労働者が1085 万人。
1年を通じて働く労働者4945万人の22%が年収200万円に満たない。
生活保護を利用できる条件を満たしながら、生活保護を利用できていない人が 8割もいる。
生活保護を受けることに対して、さまざまな嫌がらせが行われているからだ。
弱肉強食奨励の政策運営が日本を冷酷で寒々とした社会に変質させている。
日本の主権者は一刻も早く政権を刷新して、すべての人々が夢と希望を持てる 社会に変えることを目指す新しい政権を樹立するべきである。

「政策連合」(オールジャパン平和と共生)は、「誰もが笑顔で生きてゆける社 会」の創出を提案している。
https://www.alljapan25.com/
これを「ガーベラ革命」と名付けた。
ガーベラの花は色とりどりでかわいらしい。
多様性の象徴だ。
この花があるだけで、気持ちが明るくなり、笑顔になれる。
ガーベラは「希望、前進、限りない挑戦」という花言葉を持っている。
「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現すること。
これが「ガーベラ革命」だ。
何をやるべきか。
一番大事なことは、国家がすべての主権者に保障する最低水準を大幅に引き上 げること。
具体的にもっとも効果的な施策は
消費税を廃止すること
最低賃金を全国一律で1500円にすること
である。

1989年に消費税が導入されて31年が経過する。
この31年間に消費税で吸い上げられた金額は397兆円だ。
同じ期間の法人三税の減収累計額は298兆円。
同じ期間の所得税・住民税減収累計額は275兆円。
消費税で397兆円増税をして、法人税と所得税・住民税で573兆円の減税 が実行されてきたのだ。
法人税の恩恵を受けたのは大企業であり、所得税・住民税の恩恵を受けたのは 富裕層である。
これまで、所得の少ない人は納税が免除されてきた。
所得が少ないのに税金でお金を巻き上げれば生存が成り立たなくなる。
日本国憲法は「生存権」を保障しており、所得の少ない人からは税金を取らな いこととしてきた。
所得税の場合、夫婦子二人片働きの世帯主の場合、年収が354万円までは納 税額ゼロである。
「生存権」を保障するなら当たり前の施策だ。
さらに言えば、所得の少ない人には政府が資金を拠出することが必要だ。
「給付付き税額控除制度」の導入が必要である。
ところが、消費税の場合、所得がゼロの高齢者、子どもからも税金を巻き上げ る。

しかも、日本では生活必需品が無税でない。
所得の少ない人は収入金額の全額を消費に充てる。
そうなると、収入金額の10%が税金でかすめ取られてしまう。
想像を絶する酷税だ。
汗水流して働いて得た給料の1ヵ月分以上のお金が消費税で巻き上げられてし まうのだ。
「生存権」の侵害だ。
所得税は収入金額が増えるほど税率が上昇する「累進税率構造」が取られてい ることになっているが、現実には収入金額が1億円を超えると、所得が増える ほど税負担率が低下する。
金融所得の分離課税が認められているからだ。
金融所得も所得に総合して総合所得課税を行えばこの金持ち優遇制度を排除で きる。
消費税増税の際に金持ち優遇税制の廃止が検討されるはずだったが、まったく 実行されなかった。

安倍内閣がもっとも力を入れている労働法制変更の最大の目的は、企業の労働 コストを引き下げること。
大資本は労働者を最低の賃金で使い捨てにすることを求めている。
この大資本の要請をそのまま実現させようとしているのが安倍内閣の「働き方 改悪」制度創設だ。
これに対する是正策が「最低賃金全国一律1500円」政府補償制度の創設 だ。
最低賃金1500円を政府の財政支出=政府補償制度で実現する。
安倍内閣を退場させ、国家がすべての主権者に保障する最低水準を大幅に引き 上げる新しい政権を樹立することが必要だ。
そのための野党大共闘の基本に
消費税廃止へ 最低賃金全国一律1500円政府補償制度確立
を据えるべきだ。
数合わせの野党共闘ではなく、政策基軸の野党共闘が必要である。

 

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