連載・特集 » 浅野秀弥の未来創案
【共謀罪の正体】
2016年9月22日大阪日々新聞社
何でもアリの安倍政権
先日の日刊ゲンダイ紙に「暴走止まらぬ安倍政権“共謀罪”圧倒多数で強行成立の恐怖」という記事が出ていた。共謀罪というと、テロリストが悪事を働くために密議を凝らしていて、それが発覚し摘発されるイメージ。しかし、記事をよく読んでみると、国民の自由な意見交換を禁止し、酒の上で口が滑っただけで警察が検挙することができる。すなわち、自由な言論を保証した民主主義の崩壊を意味し、安倍政権の場合は自己の政権に反対する者全てを、「危険なテロリスト」あるいは「敵対国支援者」として封鎖弾圧することができるようになる。
ちょうど、お隣の北朝鮮によるミサイル発射から核実験へと国連決議を無視した一連の挑発行動が起こり、安倍総理にとっては「外敵討つべし」との国論を燃え盛らせるにはもってこいの情勢だ。
総理は、国会での支持勢力が3分の2を超えれば、同法の成立を一気に狙ってくる。北朝鮮だけでなく南シナ海を巡る中国の傍若無人な態度も結果的には総理の追い風となる。大マスコミは、官邸ベッタリで何も言わない。今や国民へストレートに言論規制の手を伸ばしてきた。
過去に3度も廃案になった「共謀罪」成立は安倍政権の悲願でもある。何かといえば、「自国を自分で守れることができる普通の国に進化させよう」という発想の総理は、説明責任や戦後長く守られてきた自衛隊に対する文民統制も実質骨抜きにしようとしている。
共謀罪はその対象を、単なる「団体」から暴力団やテロリストらの「組織的犯罪集団」に限定するようだが、これとて警察のさじ加減でどうにでもなる。中朝の暴走で、極東アジアは必然的に日韓両国が米国の後ろ盾で対抗していかないと立ち行かない。その状況を利用し、一気にアベノミクスの失敗や共謀罪成立を覆い隠そうとするのが安倍政権だ。
安倍総理は地方の自民党をどう喝して従わせ、日本維新の会などの“一見改革政党、実は政権寄生政党”の連中をも巧みに利用してくるだろう。この政権を、国民はこれ以上許してはいけない。