1月21日に行われた岸田文雄首相とアメリカのバイデン大統領とのテレビ会談で、バイデン大統領は、今年上半期に日本で日本、アメリカ、インド、オーストラリアの4カ国による安全保障協力体「クアッド(Quad)」首脳会議を開催することで合意した。
この会談で両首脳は「台湾海峡の平和と安定の重要性」を強調し、香港や新疆ウイグル自治区における人権問題への深刻な懸念についても共有したことを明らかにした。
両国は北朝鮮による先日の相次ぐミサイル挑発についても共同で糾弾声明を出すなど、対北朝鮮政策や中国けん制路線で徐々に密着度を強めている。
日本の新首相は、就任直後に何を置いてもアメリカ詣でをするのが習わしだが、アメリカの大統領が先に日本に来ることは珍しいのではないか。
それだけ、バイデン大統領にとって中国に対し警戒感を強めていることが分かる。また、バイデン大統領は「クアッド」の成果を国内にアピールする意図があるのだろう。
現在、バイデン大統領への支持率は40%台前半で、不支持が支持を上回っている。40%台前半の支持率は破天荒な大統領だったトランプ前大統領と同じで就任1年ちょっと経った大統領としては芳しいものではない。
バイデン大統領は、就任後、米国救済計画や、総額1兆ドル(約113兆円)規模のインフラ投資法などを可決し内政で一定の成果を上げた。
しかし、早々とアフガニスタンから米兵を撤退させたことが、タリバンの政権奪還を許し、その過程で多数の米兵を死亡させるという事件を惹起させたことなどでがたっと支持を失った。
また、エネルギー問題や、新型コロナにより物流の滞りが長引くなどにより物価上昇をもたらすなどで不人気が加速した。
さらに身内の民主党内でも一枚岩になっていないことも重なって、11月に行われる中間選挙での勝利が厳しくなっている。
バイデン大統領は、中間選挙まで内外交で成果をあげ失地回復を図らなければならない。日本で行われる「クアッド」もその内の1つと言えるだろう。
一方、岸田首相としても、バイデン大統領の訪日を実現させたことは外交的成果と受け止められよう。「関連:2021年12月12日」