体操界の第一人者内村航平(ジャッカル・33)が引退した。内村は、昨年7月の東京五輪、さらには10月の世界選手権で復帰を目指して鉄棒1本に絞り果敢に挑戦したが、世界選手権では6位に終わり恐らく体力の限界を意識して今回引退に至ったものと推察する
内村は、明後日記者会見を開き、引退に至った経緯等を説明するとのことだ。
北九州市の体操一家に生まれた内村は3歳から体操を始めた。中学3年の全国大会で42位となり、その後一念発起して3年後には高校選抜で個人優勝して頭角を現した。
2008年の北京、12年ロンドン、16年リオデジャネイロ、20年東京の五輪4大会に連続出場、ロンドン、リオデジャネイロで個人総合連続金メダル、リオデジャネイロでは団体金の立役者になった。加えて4つの銀メダルを獲得、五輪では合計7つのメダルを獲得した。
世界選手権では、2009年から18年まで、個人総合で世界最多の6連覇を含め、金10、銀6、銅4合わせて20個のメダルを獲得、世界に圧倒的な強さを見せつけた。
2009年の世界体操競技選手権から2016年リオデジャネイロ五輪までの個人総合で前人未到の8連覇という偉業を成し遂げた。
強さと美しい体操を目指した内村は、練習量と質においては右に出る者がないような練習を積み重ね実力を培った。
人柄も良く、後輩の面倒見も良かった。先に引退した白井健三、東京五輪個人総合と鉄棒で2個の金メダルを獲得した橋本大輝(順大)らは、総て内村を目標に切磋琢磨してきた。
世界のメデャアは、キング内村と呼びその偉業を称え、過去、現在を通して「体操史上最高の選手」と最大限の賛美を贈った。
日本のスポーツ界にも、各ジャンルで世界を股にかけた王者が、例えば現在ではフギュヤースケートの羽生結弦、女子スピドスケートの小平奈緒ら数人いるが、「史上最強」と呼ばれる選手となると内村航平以外は思い浮かばない。