核保有が公然と認められている国連安保常任理事国のアメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国が「核戦争に勝者はおらず、決して戦ってはならないことを確認する」といっせいに表明した。
ロシアは、この表明を先導したことを明らかにし、中国は「5カ国の指導者が核兵器の問題について声明を発表するのは初めて」と意義を強調した。
5カ国共同声明の冒頭に記された「核戦争に勝者はなく、決してその戦いはしてはならない」というフレーズは1985年、アメリカのレーガン大統領とソ連のゴルバチョフ書記長がスイス・ジュネーブでの初の首脳会談で共同声明に明記したものだ。
これが後に、両国間での初の核兵器削減条約の締結と冷戦終結につながった。
米ロ関係はウクライナ問題、米中関係は台湾問題等で険悪状態になっている中で、5カ国が核の抑止を誓い合うことは新年に当たり世界に対するプレゼントとも言える。
しかし、実際には米ロの核兵器削減条約は停滞しており、中国は2030年まで核弾道1000基の保有を計画するなど、言っていることと、やっていることには大きな隔たりがあり、真に喜び合うことができないのが現実だ。
そんな矢先、今朝、北朝鮮が日本海に向けて弾道ミサイルと推定される飛翔体1発を発射、日本の排他的経済水域(EEZ)外の海域に落下した可能性があるという。
岸田文雄首相は国民への的確な情報提供、船舶と航空機の安全確認、不測の事態への対応の3点を指示した。
北朝鮮が、5カ国の誓いに対し、自らの存在感を示すために1発放って水を差した形になった。