正しい食事を考える会

食が乱れている中どういう食事が正しいのかをみんなで考え、それを実践する方法を考える会にしたいと思います。

学校給食を考えるー3.牛乳は強制ではない

2009-04-23 | Weblog
 学校給食法で牛乳については「パン及び米飯」に「ミルク及びおかず」がついているのが完全給食であると定められています。ここから見ると、「ミルクとおかずが」が必ずついていなければならない解釈になります。しかし、この点については
「学校給食と子供の健康を考える会」のブログの中の記事(清水 修氏)によると、
 
「学校給食は牛乳を出さなければならない」「学校給食から牛乳を外す事は出来ない」と、殆どの方はそう思っているのではないだろうか。しかし、このほど文部科学省への取材により、牛乳のない給食でも学校給食である事、そして、学校給食に関する諸法規の面からも、まったく違法ではない事が判明した。そこで、学校給食と牛乳について数回にわたり、法規上はどうなっているのか、文部科学省の見解はどうなのかなど、一つひとつを検証・公開したい。今や牛乳問題は、米飯給食推進の上でも無視する訳にもいかない面がある。

●出さなくても良い牛乳
 学校給食を管轄する、文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課から確認した事をまとめると次のようになる。

①  学校給食に牛乳を出しても出さなくても良い。牛乳は出さなければならないというものではない。牛乳のない学校給食は可能か不可能かと言われれば可能である。法律の改正があってそうなったのではなく、元々出さなくても良かった。文部科学省は牛乳を出せと強制していない。そもそも文部科学省は、出さなければならないと言える立場ではない。出さなければならないという食品すらない。
②  牛乳は一日だけ出さなくても良いというだけでなく、年間を通じて出さなくても良い。
③  牛乳を出す場合でも、その量はいくらでも良い。
④  「完全給食」「副食給食」「ミルク給食」という給食の区分はあくまで区分を示したものに過ぎず、内容を規制するものではない。
⑤  学校給食の栄養所要量については、一ヶ月、あるいは一年をトータルしてその所要量を充当していれば良い。食品構成上の規制はない。

 如何に、学校給食の牛乳に対する私たちの固定観念、偏見が強かったかが分かる。いや、それを持たざるを得ないほどの大規模な牛乳の推進事業と保護政策があったというべきかも知れない。

学校給食と牛乳-2 「消えた標準食品構成表」  

 学校給食は牛乳を出さなければならない」と考えるその根拠は、「学校給食法施行規則」にある「学校給食の区分」である。学校側は学校給食を開設するとき、その区分を記載した届出書を提出しなければならない。
<第一条2>完全給食とは、給食内容がパン又は米飯(これらに準ずる小麦粉食品、米加工食品その他の食品を含む。)、ミルク及びおかずである給食をいう。
<第一条3>補食給食とは、完全給食以外の給食で、給食内容がミルク及びおかず等である給食をいう。
<第一条4>ミルク給食とは、給食内容がミルクのみである給食をいう。

 このように、すべての区分にミルクが含まれている。ここで見る限り「ミルクのない給食」というものはない。「給食にはミルクを出さなければならない」と考えてしまうのも当然だろう。
 また、牛乳の量については、「標準食品構成表」の存在に依る。平成 7年に出された「学校給食の食事内容について」という文部省の通知の中に、「標準食品構成表」というものがあり、各食品の標準的な摂取量が示されている。その中で牛乳は、小学校 1年生から中学 3年生まで一律に 206g(200ml)とされている。これが、実際の給食での「全学年、牛乳は 200ml」という根拠になっているのだ。
 ところがである。昨年 7月頃、学校給食と牛乳についていろいろと調べる機会があり、その時に、 5月30日付けで新しく出たばかりの通知「学校給食における食事内容について」の全文を見つけた。

一目見て驚いた。何とあの「標準食品構成表」が無くなっているのだ。これはどういうことなのか。牛乳の量について規定するものが無くなった事を意味するのだろうか? 文部科学省は、牛乳は 100gでも50gでも何gでも良いという方針に変わったのか? 牛乳だけではない。他の食品もすべて。でもまさか・・・。
 また、この通知の中で、牛乳について次のような解説がある。

(2)牛乳については、児童生徒等のカルシウム摂取に効果的であるため、その飲用に努めること。(以下略)

都道府県の知事・教育委員会に対して「飲用に努める」ということは、「牛乳を出すことに努める」という事に読める。はっきりさせる為に文部科学省の役人に直接聞くしかない。そこで早速、電話をかけてみることにした。

①標準食品構成表は、現場でこの表の数量にあまりにも縛られていたため、誤解を避けるために外した。
②食品の量についてはいくらでも良く、それは以前からそうだった。表に載っていた量は、あくまでひとつのモデルであり、弾力的に運用すればよいもの。そもそもあの表の通り実施するなんて無理。牛乳についても同じ。量はいくらでも良い。学年によって量が違っても良い。
③牛乳は出さなくても良い。出せと強制していない。
④牛乳のない給食でも、(主食、おかずが揃っていたら)完全給食。
後は、前々回のこの連載でお知らせした通りなのでこれ以上は控えるが、一つ一つの回答には、ただ驚くばかりだった。
清水 「こういったこと、誰も、栄養士でさえ知りませんよ」
担当 「そうはっきり言われると、辛いものもありますが…」

●牛乳について
清水 牛乳は出さなければならないと思ってましたので、「牛乳は出さなくても良い。それも 1日や 2日だけではなく、年間を通じても」という事を電話でお聞きし、とても驚きました。今回の通達からではなく、最初からだったわけですね。
川田 学校給食というのは、市町村でどのように実施するか、どの食品を使うかを決めるんですね。国はあくまで学校給食のモデル・標準的な姿を示して参考として頂きたいという形なわけです。制度的には、以前からどのようにやってもらっても構わないんです。極端な話、設置者(学校の設置者。都道府県や市町村、学校法人の事)が責任を取る形ならば。牛乳を出す出さないという事は、設置者が決める事です。
清水 国としての関与は出来ないという事ですか。
川田 設置者が設定するに当たって、こうしなければならないという事は言えません。ただ、或る事の意味とか意義や良さはお知らせできます。牛乳がなければ給食と認められないという事にはならないです。
清水 促進する事はあっても、「ねばならない」という事はないわけですね。
川田 (学校給食法が成立した)昭和29年から制度的にそういう形でやっています。
清水 より分かりやすくする為に出したのが今回の通達でしょうか。
川田 これまで我々がお伝えしてきた意義が定着して来たという事から、 地域の特性とか独自性をより一層出して頂きたいという事で、標準食品構成表を外そうではないかとなったわけです。我々は給食の狙いや趣旨についてお知らせするだけで、細かい事、例えば給食に何を付けるとか何グラム出すとか、そういった事は設置者の判断です。子供たちと向き合うなかで、設置者が柔軟に対応して頂ければ良いのではないかと考えて、今回、標準食品構成表を外しました。

清水 「牛乳がない給食は学校給食とは呼べない」というのは誤解だったわけですね?
川田 誤解ですね。これまでの歴史を振り返ってみれば、食生活が貧困だった時代があります。そういう時代の学校給食には子供たちの栄養の補給という役割がありました。そういう観点から見ると、牛乳は非常に出来の良い優秀な食品でしたので、給食に牛乳があるのは望ましいというお知らせはしてきました。今でも牛乳は非常に栄養バランスの取れた優れたものではあるのですけれど、それを毎日出さなければならないのかと言われれば、組み合わせによって他の食品で代替出来る事もあるのではないのかと考えていますので、必ず毎日出さなければならないというものではないですね。

● 給食の区分について
清水 学校給食法施行規則の中に給食の区分として「完全給食」「副食給食」「ミルク給食」とあって、三種類ともその内訳に「ミルク」という言葉が入ってます。学校給食はこの三つの区分しかないという事であれば、「牛乳がなければ学校給食と呼べない」と、実際思ってしまう訳です。これはどういう事なんでしょう。あくまで区分の話をしているだけですか?
川田(取材当時の文部科学省学校給食係長) 一般的に分かり易く書いているだけであって、「その通り出さなくてはいけない」というのとは別です。その通りに毎日「・・でなければならない」というものではないです。

清水 では、区分はあくまで区分の事であって、例え「完全給食」の時にミルクがない給食が出たとしても、「完全給食」と考えていいという訳ですね。
川田 そうですね。主食、主菜、副菜が揃っているものが「完全給食」と考えています。
清水 それでは、例えば「主食だけ学校側が出し、おかずは子供が家から好きな物を持って来る場合」というのは出来るのでしょうか。
川田 そのような実施は出来ますね。
清水 それは国が規制するものではない訳ですね。
川田 そうですね。
清水 それでは、そのような場合、区分上はどうなるのでしょうか。
川田 標準的な区分を、分かり易く三種類示しただけであって・・、今の・・ご飯と?
清水 「ご飯と味噌汁を学校側が毎日出し、おかずは生徒が自宅から持って来る」というような場合は出来るのかどうか。
川田 それは出来ます。それを恒常的にやられるという事であれば、それは「副食給食」の区分にするのかなというふうに思います。

清水 区分というのは事務的な考えであって、食事内容(組み合わせ)で「出来ない」という事はなく、何でもオーケーと考えても良いのですか?
川田 学校給食として成り立たせる条件は二つあって、学校の教育活動の中で行われるものである事と、食事内容とか衛生状態とか子供たちへの指導というものに対して、設置者が責任を持って行うものなんです。その責任を持つというのは、栄養バランスの面もそうだし、安全面に対して責任を持って行う事が条件ですね。
清水 そうであれば、実際何を出すかというのは、設置者の責任の範囲で出来ると?
川田 ただ誤解して頂きたくないのは、制度上は出来るにしても、国としての給食のあるべき姿というのを持ってますので、それに近づくように指導するという事は別にあります。出来るけれども、やはり「給食の食事内容として望ましいのは」となった時に、実施基準の中でいわれるようなエネルギー量とか栄養バランスはやはり、満たされる事は望ましいと考えています。

校給食と牛乳-6 「学校給食に規制無し」

清水 食品は牛乳を含めて、「毎日使わなくてはならない」ではなくて、「一年間使わなくても良い」と考えて良いのでしょうか。
係長(取材時の文部科学省学校給食係長) 「・・でなければならない」というものではないです。しかし、現実として健康補助食品とかサプリメントに頼らない、通常の食品の中から栄養を摂るという事を考えた時に、牛乳というのは限られた給食費の中で必要な栄養素を摂るものとしては非常に優秀なものなので、牛乳が無くて一年間の食事を構成できるという事は非現実的かなぁと思いますけど・・。
清水 ただ、「他の食品で補われるのであれば、牛乳に拘らなくても良い」という事は言えますよね?
係長 そうです。

清水 「これを毎日食べなければいけないとか、毎日出さなければいけないという食品はひとつも無い」と考えて、当然良いですね?
係長 えぇ、そうなりますね。
清水 これはうちの会の古い機関紙(おむすび通信 5号)ですけど、朝日新聞に出ていたものをそのまま載せたものですが、その中で、文部科学省の調査官が、「家庭で十分にカルシウムが摂れていない現状を見ると、学校給食から牛乳は外せない」と言っているのですが・・。
係長 それは指導面ですね。「カルシウムを摂るという事を考えると、牛乳を摂るというのは優秀である」という事を言っているのだと思います。
清水 だからといって、「毎日出さなければならない」というのとは別問題ですね?
係長 別問題です。

清水 こういった記事や学校給食法施行規則の文面を見るたびに、「牛乳は出さなければならない」と思ってました。いろいろ学校給食の献立表を集めているのですが、仰った事と整合する所が多いです。学校給食に牛乳を出していない献立が幾つかあったので・・(献立表を見せながら)これなんかそうですが、代わりにヨーグルトが出てますけど、牛乳がこの日だけ出てないんです。
係長 今、そういった所はたくさんあります。牛乳でないもので乳製品としてカルシウムを補給するという取り組みが全国各地で行われています。
清水 日数的には少ないけれど、そういった事は珍しくないという事ですね。牛乳をまったく出していない所はご存知ですか?
係長 まったくですか?・・そういうのは・・聞いた事が無いですね・・。
清水 量的に 200mlより少なく出している所は?
係長 聞かないですねぇ~。牛乳業者の事情もあるでしょうし、既製品が出来ていますから・・。彼らは進んで牛乳を奨励する立場ですから、望んで小さい物にしよう、小さい物を作ろうとは思わないでしょうから・・。
清水 そうしますと、文部科学省としては給食に対する規制らしい規制というのは、あまり・・。
係長 「まったく無い」と考えていいですね。
    (中略)

清水 学校給食実施基準では、「学校給食は昼食時に食べる」という事になっているのですが、例えば牛乳と米飯給食では合わないから、「牛乳だけ 2時間目の後の休み時間に飲み、食事はお昼休みに摂る」というのは問題ないという事ですね。
係長 えぇ。そのようにやってる所あります。
清水 どこかご存知ですか?
係長 ○○の方であると聞いてますけども。(注)
清水 牛乳飲用を希望する希望しないという意味の「牛乳の選択制」を実施している所があるのですが、これも問題が無いという事ですね。
係長 いや、問題があるか無いかではなくて、出来るか出来ないかと言われれば出来ます。我々は規制はしていない訳ですから。それで問題があるのか無いのかというのとは別です。我々としては給食の質の向上という観点から判断しますので・・。
清水 私を含めて給食の運動をやっている人、市町村そして栄養士の方の殆どは「・・ねばならない」と考えていた訳で、今回いろいろな話を聞けて助かりました。ありがとうございました。
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 学校給食に規制無し。それは牛乳や食品構成だけに限らず、別の機会でご紹介するが他の件でも言えることだった。とにかく規制なんて何も無い。設置者の判断によっていかようにも出来るのが学校給食なのである。しかし、だからと言って今すぐ牛乳廃止が可能かと言えば、ハードルは相当高いのも事実だろう。話を切り出しただけで変人扱いされかねない。それ程、絶対化されているのが牛乳なのである。だから、牛乳と食事を別時間に分けるか、牛乳の選択制にするかが現実的対応だろうと思う。ただし、それは完全米飯給食を実現してからの話だ。ここでは牛乳の取扱がどうなのかは分かった。確かに牛乳の問題は見過ごす事は出来ない。だが、それ以上に主食の問題は給食に決定的な違いを及ぼす。だから真っ先に取り組まねばならない。それを改めて認識して頂きたいと思う。(おわり)

以上、学校給食法では、完全給食には「ミルク及びおかず」がつかないといけないと書いてありますが、そうではない、そう言う強制はしていないと言うことがはっきりしました。その真実性を明らかにするため清水氏の記事のほとんどを転記しました。詳しくは「子供の健康と学校給食を考える会」のブログを参照して下さい。

 私は学校給食の牛乳はおかしいと考えています。そのことを市の教育委員会にぶっつけました。その根拠は牛乳は良いものとは言い切れない。問題もある。米飯給食ではみそ汁が正しいのではないか、と言うことです。牛の良さと問題点については今調査中ですので、詳しくはいずれ投稿をします。









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