DREAM/ING 111

私の中の「ま、いいか」なブラック&ホワイトホール

初音ミク『THE END』/オーチャードホール(Bunkamura)

2013-05-24 | ドラマ・映画・演劇・アート
初音ミク『THE END』


初音ミクのボーカロイドオペラ『THE END』
オーチャードホールにて観賞してきました。
以下、あくまで一個人の感想です。

3D映像は、2009年の『ジョン・レノン スーパー・ライヴ』で、清志郎さん“復活”で体験していたので、より高度な映像が見れるのを期待していたのですが、ちょっと期待過多だったのか、映像のモチーフと3Dとの相性の問題なのか・・・思っていたイメージとは違いました。映画の3Dと較べるのは無理があるとは思いますが、立体感の表現という意味では、(実験的なアートジャンル含め)もっと面白い映像作品があるかな~、というのが正直なところです。


いや、これはボーカロイドオペラ、それも「クラシックやオペラ公演で知られるオーチャードホールに10.2チャンネルのサラウンド音響と、1万ルーメンを超える高解像度プロジェクター7台を持ち込み、言わば電子の要塞化されたデジタルな環境」・・・。
はじまった瞬間、思わず耳をふさぎたくなるような高音の表現。。。ミクの声がそっち系とはいえ、不快音ぎりぎりな感じ。んーーーー、もしかして、ミク慣れ(や、ミクものはけっこう聞いてると思うのだけど)やゲーム慣れしてる若い人にはこれが気持ちいいとか?・・・・もしかして中高年撃退用逆モスキート音?なんて思ってしまいました;;;

英語と交互、字幕も交互という表現自体はオモシロイのだけれど、音の重なりが干渉し合い過ぎていて、気持ちが入っていかない。現代アートにはたしかに「神経に触る音」あたりを狙った映像×音表現もあるけれど、ちょっとキツイ;;

映像や音は座る場所の影響も多少はあるのかも?(ちなみに1Fプラチナ席・センターブロック)

いや、これは哲学的・実存的な「生とは、死とは」を扱った物語・・・。
たしかに言葉は「私は誰」「あなたは誰」「あなたは私?」系実存的。バーチャルな存在に「存在性」を探らせる、たしかに面白いのですが。が、うーん。。。暗い、暗すぎる。。。シリアスミクを狙ってるのでしょうが。。。この仕掛けだともっとエンタメ系のものを観てみたいかも。(次の展開があることを願いつつ)


いや、これはあくまで「ミク」の魅力を追求した作品・・・。
表現の多様性、ともいえるのかもですが、顔がコロコロ変わる、私はそういうの気になってしまうのでした。。。変えるなら徹底的に変えて欲しいかも。
あと、ファンサービス(?)なエロ想起表現もあちこちにあるわけですが、会田作品ほどふっきれず、ファンタジーでもないし。でもきっと「初音ミクは俺の嫁」的ファンにはこういう表現でも嬉しいのかなぁあああ?

そう、作品としては音楽も映像も物語もミクキャラも、どうにも私には中途半端なのでした(汗;)。

ただ、ラストの2曲くらいは非常に聴きやすく、映像もキレイで、表現と狙いが一致してたように感じられました。せっかくオーチャードホールなので、やっぱり聴きやすい音がいいなぁ。

スマートでおしゃれなエレクトロニカ系実存映像作品でした。(あ?こう書くとちょっと新しい?)海外公演が決まったそうですが、哲学×アートなテーマはフランスではかなり受けそう、だと思います。

あ、マーク・ジェイコブスのルイ・ヴィトンコスチュームはめっちゃ可愛かったです!
この映像作品、ファッションショーとかに使うと相当カッコイイかも☆


公式サイト:

常に注目すべき活動を繰り広げている、音楽家/アーティストの渋谷慶一郎と、演出家/劇作家/小説家の岡田利規。ともに1973年生まれという世代を共有する彼らが、「終わり」をテーマに初のコラボレーション作を発表します。
「THE END」は、初音ミクによるオペラ。悲劇的ストーリーやアリア、レチタティーボといった従来のオペラが持っていた形式はそのままに、人間の歌手もオーケストラも登場しないボーカロイド・オペラという初の試みです。ステージの四面を覆うマルチ画面映像と照明、マルチチャンネル音響を駆使した、YCAMのプロデュース/滞在制作による最新作。オペラが結びつけられてきたヨーロッパ的人間中心主義と、生と死/パブリックとプライベート/部分と全体/線と層といった対立項の解体が試みられ、終わりとはなにか?死とはなにか?が問いかけられます。
自らの運命を予感したミクが、自分の劣化コピーや他のキャラクターとの対話を通じて終わりを探す旅が始まります。無限の谷へ繋がる部屋で展開する悲劇のバリエーション。ミクは果たして死ぬのか?







おまけで行ったトレヴァー・ブラウン展~女の子戦争~

表現は半端なくエグイんですが、このふっ切れた感はけっこう好き。
ダーク×アダルトな内容がチャーミングなキャラを使って描かれている、
会田誠氏に通じる世界。

比較してはいけませんが、ミク作品は「優等生」狙いというか、今までにない世界を狙う間際で「良識さ」「カッコ良さ」「センスのよさ」「クレーバーさ」な「さ」がどこかストッパーになっていて、私には「?」なのかも。。。

ただ、『THE END』のようなリアル映像×音響×演奏イベントは
LIVE同様体験しないと、わからない。
なるほど、アナウンスされた内容が実際はこう感じられるのね、とか、
ここはいいな、ここは苦手、ここがこうなれば、といった感想は、
参加した人間だけの特権だと思う。
という意味で、行ってよかったです!

※前日に無料招待デーがあったのですね。
これは学生さんとか若い方には嬉しい企画といえるかも☆

参考;
THE END、YCAMミクオペラネタバレツイート集
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