鼠喰いのひとりごと

DL系フリーゲームや本や映画などの感想を徒然に

ラハと百年魔法石 ~the endstory~

2017-01-14 03:08:56 | フリーゲーム(ファンタジー)
「ラハと百年魔法石 ~the endstory~」ラハ最終回・RPGノベル
制作者:kotonoha*様(言葉の書庫


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時は流れ、いまや闇のマリスザラム魔法学院の学園長として過ごすサリー。
変化のない穏やかな日々を過ごす彼女の前に、ある日突然、
フーバルトと、その教え子のミーシェとが現れます。
闇の魔導士アークギルドの遺産が封印された、マリスザラムの地下室を探索せよ、
という、魔法界法長の命令とともに…


「ラハと」とタイトルにはついています、が…
実はラハはシナリオの9割くらいは出てきません!←w
ですが…最後までプレイすると、
やはり物語の中心を為すのは彼、とわかるという…
なんともトリッキーで、不思議な作りのシナリオでした。

多分ゲーム開始時には、サリーやラハが一体どういう状況なのか、
サッパリわからないと思いますが、シナリオが進むにつれ、
少しづつ、少しづつ現状が明かされていきます~
えっ? そうなの?? そうだったの??の連続に、ただプレイヤーは驚くばかり。
とりあえず、シナリオに点在する些細な違和感には、すべて意味がある、
とだけ言っておきましょう!
中盤では、いろんな意味でショックな展開がありますが、
そこを抜けた先には…皆が待ちに待ったハッピーエンドが待ってますよ!

さて…実は今回、フーバルトとヤクル先生がパーティメンバー、と聞いた時は、
どうなることかと思っていました。

フーバルトは、私にとって、本当に第一印象が悪くて…
装備ナシで「死んで来い!」とばかりにダンジョンにぶっ飛ばされたのは、
あまりにも衝撃的でした。いや、これが敵なら驚かないけどさ、教師よ?
某小説のセブルスだって、そんな本気で殺しにかかってこないじゃん~

しかし、今回のフーバルトは一味違いました。
一緒にいるミーシェのおかげもあるかもしれませんが、
単に空気読めない真面目馬鹿、かつ、内面ではきちんと人を思いやる心も持っている…
素敵なキャラにクラスチェンジしています。
なので、ええっ…フーバルトぉ?あいつかよ!と思った方も、
安心してプレイしてみてくださいね~


ああ、でも…最初の方の、フーバルトの村のエピソードは、
なんかこう…素直に受け取れなかったんですよね…
全体のために、自分が引き受ければ、自分が悪者になれば、我慢すれば…
っていう考えは、あんまり好きじゃないんで…
自分がやるのもイヤだし、他の人にもさせたくない。

ただ、この村の人たちの状況と、真実を知った時の両親の行動、
渦中の子供の年齢を考えれば、やっぱりこれが、
ベストではなくとも、ベターな選択なんだろう、とも思います。

まあ、どんな苦労も、努力も、重荷も、それをちゃんと知っている人がいてくれると、
少しは楽になるってこともあるし。
今回、真実の出来事とその時の気持ちとを、他の皆がわかってくれたことで、
フーバルト自身、少しは救われてるのかも~

あとは…ヤクル先生の、追放理由がすごかった;
これは伏線の一部に関わるので、中盤以降になってから出てきますが、
それっていいのかい;と思うような出来事をケロっと告白…;
一番怖いの、もしかしてこの人なのかも…?

新キャラ、ミーシェは…ごめん、最初全然可愛くなかった;
ていうか、コトノハさんのキャラって、大体最初は強気だったり、
癖が強かったりして、「コイツ…!」と思うことが多いかも。
あとあと、いろんなエピソードを見ていくと、だんだん魅力が出てくる感じで…
ミーシェもそういうキャラでした。
彼女の持つ「スキルリピート」は、物語全体を通して、超重要な魔法ですよん。

そして主人公の、サリー。
相変わらず、真面目で、才気走りすぎていて、ちょっと心配になるレベル…
ブレない姿勢はかっこいいけど、純粋過ぎてかえって脆そうにも見えますね。
そこを支えてあげるためには、やっぱりラハがそばにいないとね~^^

努力に見合うものしかもらえない、という彼女の生き様のために、
今回はいろいろ大変なことになるんですが、
…まあ、ああいう女神に一度関わっちゃったらね、
タナボタなんか胡散臭い!って気持ちになっても仕方ないっか…

彼女については…あまり語るとネタバレになっちゃうんで、
実際にゲームの中で、いろいろ確かめてみてくださいね~



さて、戦闘システムについて。
ラハではある意味いつものことですが、
今作のパーティキャラ…ものすごく癖のある人ばっかり!です。

フーバルト先生はいつの間にか無属性主義になっているし、
教え子ミーシェはほぼ「ものまね」しか使えない。
サリーはかろうじて万能タイプですが、
ヤクル先生は魔法薬でしか攻撃できない…

まあ、フーバルトの無属性魔法は相手を選ばぬ貫通系ですし、
属性魔法は、サリーが炎氷光闇の4属性カバーしてますんで、
フーバルトorサリーで相手の弱点をついて、
それをミーシェが真似してさらに倍!みたいなのが~
基本の攻撃になるのかな~?

ただ、ミーシェが真似するのは、味方の魔法だけじゃないのが問題で。
行動順で、間にモンスターの攻撃が挟まると、そっちを真似しちゃう。
案外これが~、調整めんどくさくって…
結局、ボス敵以外は、普通にガンガン戦っていきましたとさ。
人型相手なら、ポカルで殴り倒すのがおすすめです。
大丈夫!ノーマルでプレイしたけど、力押しでもなんとかなった!

他3人が戦っている間、ヤクル先生は、基本ずっと調剤。
魔法薬には、便利そうなものが一杯あるんですが…
実際に使ったのはごく一部だけでしたね…
クリティカプセルと乱乱撃薬、各属性の攻撃薬はよく使った。
たまにシナナインとか。あと体力回復薬をちょっと。
ボス敵によっては、たまにメチャメチャ効く薬があったりするので、それも使ったかな~

案外使わなかったのは、ステ回復薬。
なんだかんだと、戦闘が終われば全回復するシステムですからね…
チマチマ回復しなくても、
こちらが死ぬより先に倒してしまえばいいのですよ←(脳筋の考え)


青箱ドラゴンは、まだ全員倒せてないんですが、
それ以外の…メインシナリオの敵に関して言えば、
今作の戦闘は、だいぶ甘目のつくりだと思います。
私のキャラの装備は、殆どが最初のほうで買える&貰えるものばかりでしたが、
ちゃんとエンディングまで行けました。
たぶん、武器や防具の性能、あまり関係ないんなんじゃないですかねー
(凍らせる敵用のあの装備アイテムは別として)
むしろ攻撃するタイミングとかのほうが、大事っぽい? 
敵がチャージ中に攻撃すると、ダメージの桁が跳ね上がるの気持いいわー

回復面だけは、前作と違ってかなり手薄ではありますが、
(全員がヒール・アルルを持ってないとか、最初焦りました)
それを補ってあまりあるのがミーシェのサードスキル。
TPをフルに溜めておけば3回使えますし…ボス敵だと、戦ってる間も、
どんどんTP溜まりますしね。かなりお世話になりました。
あと、全体ヒールの魔法石はミーシェにつけておくと、
たまにいいことがある、かも…?

ツミビトとシロ Tell the time of execution

2017-01-13 12:51:11 | フリーゲーム(ホラー)
「ツミビトとシロ Tell the time of execution」 探索ADV・一本道・罪と少女と殺人鬼
制作者:カノン様(奏でる音

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コハナが電車から降ろされたのは「罪人駅」と呼ばれる場所だった。
何が何だかわからぬまま、斧を持った男に殺されそうになるところを助けてくれた青年、トル。
彼は記憶を失い、気が付けばここにいたという。
やがて、出会った一人の男…ツミビトのリオカは教えてくれた。
ここは凶悪なツミビトを処刑するための、巨大な処刑場であることを。
コハナは何故ここに迷い込んでしまったのか? トルは何者なのか?
ツミビトと処刑人。それぞれの思惑が絡み合う中、
トルとコハナは二人は生きてここを出ようと誓いあう。

私の好きなお兄さんと幼女モノ。
いや設定的には14歳で、幼女ってほど幼くないはずなんだけど。
まあ、年上のお兄さんが年下の女の子を守って進む物語、です。

トル兄ちゃんがやたら過保護~^^
誰かを守るためなら手段を選ばないところがイイ。
コハナは普通に可愛い。ほかのお兄ちゃんたちも、それぞれ魅力的。
ただ場所が場所、設定が設定だけあって、皆「殺し」に全く抵抗ないのねん。

仕事だから、で、大事な人間も殺せる迷いのなさ、葛藤の無さ、は、
この世界観の一部ではありますが…
「殺す」ことを軽く見せた分、対極の「守る」の価値もやや軽くなってしまったかも。
でも、だからこそ、サクサクプレイできる、やりやすいゲームでもあるんだよねん。

シナリオは一本道&一歩通行。
行く場所ごとにきちんと探索していくだけなので、
難易度としては高くはない、はず。
終盤になってから、もう一度最初のステージに戻って、
取りこぼしや新イベ・フラグはないか、
全部調べなおしとかしなくていいのは、お手軽でうれしい~

分岐条件は、コハナの秘密をトルが知らないまま進むとバッドエンド。
暗闇の中を探索してあるアイテムを手に入れて進むとハッピーエンド。  
それ以外はノーマル…かなあ?
意味ありげな手記は、エンドに影響あるのかよくわからない。
個人的には、ハッピーよりバッドの分岐ポイントのほうが、
見つけにくい気がする。

逃げは少しだけありますが…追手の足が物凄く遅いので楽勝。
謎解きも、詰まるほど難しいのはなかったと思います。

ただ、追手はともかく、主人公の足が(ダッシュしてても)遅めなので、
周回が面倒に感じてしまうかなあ。
あと、後半の「話を整理」は、飛ばせるようにしてもらえると…
エンドごとに全部聞かないと先に進めないのがめんどいよー



個人的にすごく気になったキャラ?は鳥。あれ口調も可愛い。
ハッピーのあとは、残った彼らはどうなるんでしょうね~…
トルにいろいろ託しちゃってる姿は、もう死を覚悟としか見えないんですが、
お面はともかく薬屋は……潔く散る、って感じには見えないっていうか…

Repainter

2017-01-12 21:59:47 | フリーゲーム(ファンタジー)
「Repainter」 短編・ロシア語勉強探索ゲー・絵画の世界
制作者:アマタ様(Amata games

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昨年末から、中途半端にプレイしたゲームばかりが溜まっております~
短時間で終われるような短編はそれなりに消化していましたが、
プレイしてから時間が経つと、感想がどっかに飛んでしまって出てきません;

とりあえず、詰まっていた短編が、公式レビューのおかげでクリアできましたんでご紹介~
グラフィックもシナリオも、やや粗めながら、
全体に漂う落ち着いた雰囲気と、主人公の女の子の「白さ」が光る一品です。

記憶を失った少女が目を覚ましたのは、ある画家の館。
なぜか絵の中に出入りできる能力のある少女…レイラは、
そこに飾られた絵画たちが、それぞれが大切なものを失くして困っているのを見て、
探し物を手伝うことに。
ベッドもテーブルも本も、レイラにとっては初めて見るものばかり。
「それなあに?」と尋ね、また実際に触れたり体験することで、
短い間に、どんどん、いろんなことを学んでいきます。
そして最後に、館の主に出会ったレイラが選ぶ運命は…?


随所に「ロシア語」を使っているのが、印象的。
ドイツ語をモチーフとして使うケースは良く見ますが、
ロシア語ってあんまり見なくて新鮮~
キャラ名だと、他にもなくもないけど、モノの名前で使うのって初めてじゃないかな。
まあ、単語のイメージが英語とかけ離れすぎてるから、普通には使いづらいんだろうけど…
今回は「何も知らない真っ白少女」がいろいろ知っていくのに合わせて、
プレイヤーも、へぇ~、ほぉ~、と呟きながら学ばせてもらいましたです。

絵画の世界も、雪深い森の家や、バブーシュカを被った女性など、
ロシアっぽい雰囲気がチラホラ使われております。
このロシア色を、作中でもっともっと深く掘り下げてくれたら、
もっと印象深く、面白くなったような気もするな~

基本的には、レイラがいろいろ行動する中で、隠れポイントが上下し、
その数値で、二つのエンドに分岐するようになっております。
大雑把に言うと…「楽しい経験」「快い経験」だけを、させてあげればいいんですが…
正直、ゲーム内だけでは、判断がつかないかと思います。
作者さんのサイトにヒント…というか、攻略がまるっとありますので、ぜひどうぞ!

細かいイベントは、起きるタイミングが限定されている場合が多いので、セーブはこまめに。
とくに謎解き上手さんは、すぐに話を進めてしまって見落とすかもしれません。
人には何度も話しかけて、その時聞ける話をすべて聞いてから先に進むようにしませう。
「良い感じ」に経験を積むと、レイラの見た目にある変化が現れますので、
そちらも参考にしてください。

あと、ポイントに関係ない部分のイベントとして「ベッドで眠る」があります。
最初は横になっても「眠る」ことは知らなかったレイラ。
やがて眠れるようになり、時には夢を見ることも~

立ち絵や部屋の家具配置、マップデザインは多少粗め?
でも、ドットキャラがハシゴ持って歩いたり、台車押したりするのはビックリ。
特に台車。ちゃんとモノを載せてるときと、空の時で絵が違うし。

シナリオ面では、割とぼんやりしたエンディングで終わるのが、アレ?って思うかな。
うーん、エンディングの雰囲気はすごく良い、と思うし、
レイラが何者かは、きっとみんな予想つくと思うんだけど。
そこに行くまで、「満月じゃないのに絵画が動ける謎とレイラの関係性」
みたいな話もあったので、館の主から、もう少し何か話が聞けるのかなと…

主はまったく驚かないし、むしろレイラが来ることは予想してたっぽいし。
ある意味、この人が一番の謎だったかも…


操作面では、ちょっと足が遅いかな…あと、
ダッシュがDキー、という特殊な設定、が…

この作者さんのゲームをずっとプレイしてきた人なら、
たぶん、悩まない部分だったのだろうと思いますが、
実は、私はこのDダッシュに気付けず、鬼ごっこでずっと詰まっていました。
ダッシュといえばシフト、という思い込みがあって、
これはダッシュできないゲームだと思っていたので、リドミも確認しなかった。
レビューで書かれてなかったら、そのままプレイすることなく終わったかもしれない…

詰まったとはいえ、最後がどうなるのか気になるゲームでしたんで、
今回クリアできてほんとによかったわ~^^

教訓:リドミの操作説明はよく見よう。




ちなみに、私は3周してもいまだに、
サクランボやトマトを食べるタイミングがわからなかったり…
食べられなくても、他のポイントイベントでフォローはききますが、
すごく気になる…いつどうやって食べるんだ、アレ…

あ、木の枝も一瞬悩みましたが、
最後の一本は鉄柵に重なるように落ちてます。よーく画面を見ませう。


セブンテットクロス

2017-01-06 12:58:08 | フリーゲーム(ホラー)
「セブンテットクロス」 刑務所脱出ゲーム・微ホラー
制作者:皐月の夢様(有限の遑

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今までは乙女ゲを中心に活動されてた方ですね~
何作も手掛けてきただけあって、システム面は安心のつくり。
絵もキレイだし、キャラもそれぞれ魅力的です。

今回の主なステージはなんと刑務所!
連続殺人の冤罪を受けた主人公・ユシアが、同じ棟の囚人たちと関わりながら、
なんとか脱獄しようと頑張る、探索ADV。
主人公が女性で、あとの囚人は男ばっかりということで、
あれ?もしかして相手選べる?刑務所乙女ゲ?? と一瞬思いましたが、
シナリオ上、それっぽくなるのは一人だけ&糖度は低め。
乙女ゲに抵抗のある人でも、十分プレイできます。

囚人たちがみんな、なかなか個性的で良い感じ。
今までのゲームの中で一番キャラ数多いんですが、
メインシナリオをすすめる中で、それぞれが犯罪に至る事情も語られるうえ、
見せ場も個々に作られ、きちんと書き分けられております。
メインはユシアとキースの活躍ですが、そのほかの5人も、
決してその他大勢では括れない、いい味出してますよ~

ユシアと絡みの多いキースは、特に魅力的でかっこいい。
主人公が危機的なとき、必ず助けてくれるヒーローキャラクター。
詐欺師でウソツキ&ちょっと意地悪だけれど、
決して芯まで捻くれていないところが (・∀・)イイ!!

あと、個人的にはサイラスも好きですね。素敵オヤジ…!
乙女ゲ作者さんって、攻略対象の若い男の子のキャラは得意でも、
脇役の中年男性を魅力的に作れる人ってあんまりいないかも。

エンディング後の様子も、全員が解放されてオワリではなく、
それぞれの個性?性癖?に合わせ、刑務所に残るものは残り、
出るものは出る、という現実的な展開がいい感じ。
…放火魔のあの子はちょっと危険すぎて出せないもんねぇ。

それほどホラー要素は強くないんですが…ちょっぴり猟奇な部分がありますね。
あとは、ちょいちょい出てくるあのキャラの存在ぐらいでしょうか?
彼はエンド分岐に関わるので、見かけたら親切にしてあげましょう。

…ていうか、とにかく探索さえしっかりしておけば、
まずトゥルーエンドを外すことはないと思うな。
謎解きも、ちゃんとゲームの中のヒントで解ける範囲…だったと思う。

ちなみに、私が一番悩んだのは…うさぎ!
これ、時間制限付きの上、個別のヒントないんで焦るんですよ。
実は、その直前の謎解きのヒントを別な形で使いまわして解きます。
文字と数字の規則性を探すのだ!
どうしてもわからなかったら、作者様サイトの攻略をどうぞ。





しかしこんな女日照りの環境で、野放しの自由時間がいっぱいあるのに、
何事も起こらないなんて、ここの棟の囚人超紳士だわ…

Steel howling

2017-01-06 11:20:14 | フリーゲーム(ホラー)
「Steel howling」 サイコホラーADV・ヘヴィメタル
制作者:Achamoth様(公式サイト

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「PUB」の方の新作です。
うん、面白い…そして、とても深い。
今回もメッセージ性が強くて、やりごたえがありました~
こんな風に、自分の好きなものを「どうだ!」とガツッと打ち出してくる姿勢、好きだわぁ。


芸術は、それを「発信するもの」と「受信するもの」がいて完成するものですが、
特に、音楽の分野はそれがハッキリしているように思います。
ある人が聞いて涙した曲も、ほかの人が同じように感動するとは限らない。

ただ、どんな表現も、人間の感情や思考に基づくものである以上、
たとえばそれが作られた時代背景や、作った人の人生、
それに影響を受けた出来事や人々…を知ることで、
ある程度の共感…歩み寄り?はできるのかもしれません。

メタルのような激しいロックに関して、私はどうやら受信回路を持ってないらしく、
さほど進んで聴きたいとは思わないのですが、
このゲームの根底に流れるロックな「精神」…「魂」?は実に魅力的でした。


主人公は「ジョナサン」と「ジューダス」、そして「ジェシカ」のJ三人組。
物語は、3人が縛られた状態で、見知らぬ家に監禁されているところから始まります。
グツグツ煮える鍋の中には、吐き気を催すような料理。冷蔵庫には謎の肉片。
ジョナサンよりも先に目覚めていた二人は口々に言います。
ここは殺人鬼の家なのだ、自分たちは殺されるのだ、と。

ジョナサンルートがけっこう血塗れでアレなので、
ホラー耐性のある方でないと、プレイは難しいかなぁ。
ジョナサンとジューダス、それぞれのエンドを迎えると、
ジェシカルートが解禁され、トゥルーエンドに行きつける感じ。
一つエンドを迎えると、ジェシカの独白で次へのヒントが入るので、
攻略はそんなに難しくないんじゃないかな。

表面穏やか内面猟奇趣味のジョナサンと、表面暴力的で内面信仰深いジューダスの
男二人は、選択肢も行動も対照的ですが、単純に善悪で分かれているわけでもなくて。
どちらかというと、同じものであるけれど、表面への出方が違うだけの…
明暗ひっくりかえったネガポジ?的にも見えますねぇ。

ただ、暴力的な性格はともかく「常識を大きく逸脱しない」ジューダスは、
受け入れられやすいキャラだと思います。
血塗れで、選択肢がいろんな意味でショッキングなジョナサンルートのあとに
ジューダスルートをプレイするとホっとする…ある意味心のオアシス。
もし、ジョナサンルートしかなかったら、一般常識と乖離しすぎてて、
共感の難しいゲームになったかもしれない。

3つの選択肢…自分だったらどうするかな?
最初の二つは、ココロに余裕があるうちはき拒否するだろうけど、
(モラルの問題ではなく、たぶん、見るのも触るのも気色悪いという理由で)
物凄く追い詰められたら……わかんないね。
最後のは…まあ、状況と種類によるけれど…その必要がなければ殺さない。

そういえば、ちょっと検索したら、ジョナサンは似た感じのボーカルが実在しましたが、
ジューダスやジェシカも、もしかしたら誰かモデルがいるのかな…
もともと好きな人だと、いろんな符丁に気が付けて、もっと楽しめるのかもね~



メタルを聞いて思うのは、歪でも、醜くても、地に這って泥を食んでも、
「自分はここにいる」と叫ばずにはいられない、突き上げるようなエネルギー。

人は恐怖を好み、悲劇を好み、破滅を求める。
ですが、それは単なる野次馬根性だけではなく、
それを見極め、越えて、さらに先へ進もうとする力であると思います。
死と生とは表裏一体のもの。
死の定義を知ることは、生の定義を知ることでもありましょう。

どんな問いにも、神父はただ頷くのみ。
残酷な物語も、歪んだ想いも、悲惨な事件も、そこに何を見出すかは、自分次第なのです。



ヘヴィメタが好きな人も嫌いな人も、
ホラー…というか猟奇耐性のある方におすすめですぞ。


宵闇の影

2017-01-05 01:37:07 | フリーゲーム(ホラー)
「宵闇の影」 探索ホラー・夜のオフィスビル
制作者:C3様(C3-ゲーム制作サークル

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社長室でうたたねしていた月宮潤が気付いた時、既に退社時刻は過ぎていた。
エレベーターやパソコンが原因不明の誤作動を起こし、不思議な影がうろつくため、
19時以降は閉鎖されることになっている本社ビル。
そこから脱出するため、潤は社内の探索を試みる。

このテのフリゲで、近代的なオフィスビルが舞台って、珍しいですよね~
大体学校とか、洋館とか、廃屋とかが多めな中では、かなり目新しく感じます。
エレベーターにまつわる話とか、ある意味一番、日常的なネタのはずなんですけどね。
ゲームとしては、リアルすぎるがゆえに、あまりないのかもしれない。

各階の間取りやオブジェクトの配置も、とても細かく作りこんであって、
実際の職場っぽいリアルさが魅力的。
シナリオの進行に関係ないものにも、一つ一つコメントがついているので探索が楽しい。
別に全部が全部を調べなくてもメインシナリオは進められるんですが、
何気ない会話の中に、キャラ同士の関係性や、思い出話などが仕込んであるので、
初回は特に、じっくり探索していくことをおすすめします。

キャラグラがキレイなのもいいですね。
ポーズや表情の差分も細やか。
特に七星ちゃんは、オトナのキレイ可愛さがあって良いキャラだと思います。

シナリオは…とりあえず4番目のエンド以外は全て見ました、が…
4番目の分岐どこだろう…;
最初の三つは、最後の「真実」へたどり着く前、
1Fに潤が移動してからのザッピングで分岐するっぽい感じ。

1.ほか二人のザッピングイベントを全てクリアしてから、真実を知りエレベータに向かう
2.ザッピングイベントを全てクリアせず、真実を知りエレベータへ向かう
3.真実を知ることなく、エレベータへ向かう。

の3種かな? 4番目の条件だけ、よくわかんないっすね。
おそらくは、バッドエンドか…
それとも、他3つでは影の薄いあの子のエンドなのかな~と思うんだけど…
忙しくてやりこむ暇が…:

この先は、素直に実況か、公式のネタバレをまつことにいたしましょう。
…他のゲームも山盛りで溜まっていることだし^^;

後日追記:エンド4わかった! ほか3つと同じタイミングで、
     単に「真実を知りたくない!」と拒否するとエンド4です。
     …だからわざわざ選択肢3つあったのか…
    
     意味ありげに出てくるのに、エンディングにほとんど関与しないあの子。
     スペシャルでは、どうしてああいう感じになったのかがわかります。 
     連のザッピングで「真実を見に行く」と言ったあの子はそのあとどうしたんだろ?
     個人的には、彼女がかかわるエンディングも一つ欲しかった気もするなぁ

     
     



しかし、ここのところ終電まで残業していた身としては、
19時以降強制退社とか、むしろ超ナイス!とか思ってしまいます。
うちの会社にも、こんなステキな幽霊出ないかのう。


ライブラリウム

2017-01-04 11:25:33 | フリーゲーム(ファンタジー)
「ライブラリウム」 探索ゲー・水中図書館
制作者:sinononn様(公式サイト

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ふと気が付けば、謎の水中図書館にいたマコちゃん。
幼馴染のヒロとともに謎を解きつつ、この不思議な場所から脱出しませう。


「白はこ」の作者さんですね~
ファンタジックな異世界の物語だった「白はこ」と違い、
今回は、高校生の女の子と男の子が主人公。
舞台も学生には身近な場所である図書館です……ただし、水中の。
マコとヒロが、一体なぜこんな場所にいるのか、
プレイヤーは二人とともに、その真相を解いていきますー。

図書館の雰囲気って独特で良いですよね。
新刊の立ち並ぶ、大きな本屋さんも好きだけど、
何十年もみなに読まれた古い本の、どっしり静かな佇まいもいい。
図書の貸出カードって、今は電子化してなくなっちゃったけど、
あそこに名前書くの、何か『自分のしるしを残す』みたいで好きだったな…

もしかして、作者さんは司書さんの資格持ちなのでしょうかね。
今回のゲームは、図書館に関する理念とか、
本の分類とかの蘊蓄が多めになってますー。
あまり派手な演出は無く、基本、本を探して読んでヒロと会話する…っていう流れなので、
本や絵画にもともと興味のある人には、きっと楽しい。
逆に、膨大な本をいちいち調べるの面倒って人には、あまり向かないかなぁ?

パスワードは、ちょっと考えればわかる範囲…だと思う。
5文字パスは、2桁の数字で一文字。10の位は母音。1の位は子音。
詰まりそうな部分は作者様のサイトにヒントがありますので参考に。

いろいろ悩みがちな気弱な男の子と、
それを支えて喝を入れる元気な女の子の組み合わせは、
白はこ同様に爽やかで気持ちいい。
サックリプレイできる良ゲームでした。


一つ残念だなと思ったのは「水中」という設定が、
シナリオ上は殆ど意識されないつくりであったこと。

もともと、水中で紙の本が読める、ということ自体ファンタジーだし、
エンディングを考えれば、実際の物理法則があてはまらなそうな世界とはいえ、
水中なのにオブジェクトとして金魚鉢があり魚の泳ぐ池があり、
電気がショートしても周囲に影響もない…のは…
「水底の世界」というのは、おそらく深層意識の海の底、という見立てなのだと思いますが…
正直「水中」という設定がなくても、そのまま行けてしまう話のようにも思えます。

水の中にいる、という特徴を生かしたエピソードがいくつかあると良かったかもしれない。
青みがかって揺れる画面は、とてもキレイですけどね~




「お腹空くんだよ、その匂い」
…食べちゃいたいってことですねわかります。